近年、エステや美容サロンの長期ローン契約を巡るトラブルが注目されています。特に「永久保証」や「回数無制限」のサービスに魅力を感じて契約したものの、ローンの支払いだけが長期間続くケースは少なくありません。今回は、すでに施術回数を消化したにも関わらず支払いが残っている場合、どのような対応策があるのかを解説します。
永久保証とローン契約の仕組みを理解する
「永久保証」とは、基本的に規定回数終了後も追加料金なしで施術を受け続けられるというサービス内容ですが、この保証内容と支払いの関係は別であることが多いです。
多くのケースでは、契約時に美容サービスの対価を「ローン」で一括契約し、金融会社へ分割で支払っていく構造になっています。そのため、たとえ実質のサービス提供が終わっていても、ローンの支払い義務は残るという状況が起こります。
抗弁書とは?支払いを一時停止できる可能性
クレジット契約などの場合には「抗弁書」という制度があり、特定条件を満たせば支払いの一時停止を申し立てることが可能です。抗弁権を行使するためには以下のような理由が考えられます。
- 契約内容と実際のサービス提供が大きく異なる
- 永久保証が形式上のもので、実質的に施術継続の見込みがない
- 中途解約の説明が不十分だった
ただし、すでにサービス提供が完了している場合、抗弁権が認められないこともあるため注意が必要です。
支払いを停止するとどうなる?ブラックリストと信用情報
ローン会社への支払いを意図的に止めた場合、「延滞情報」として信用情報機関に登録される可能性があり、いわゆる「ブラックリスト入り」となることがあります。
これにより、今後数年間は住宅ローンやクレジットカードの審査に通らなくなることもあります。そのため、支払い停止は最終手段とし、できるだけ交渉や相談での解決を目指すべきです。
相談先:消費生活センターや法テラスを活用しよう
一人で悩まず、早い段階で以下の公的機関に相談することをおすすめします。
- 消費生活センター(国民生活センター)
- 法テラス(日本司法支援センター)
- 弁護士・司法書士などの専門家
特に法テラスでは、一定の条件を満たせば無料相談や費用立替制度も利用可能です。
穏便な解決を目指すためのステップ
支払い停止前に、まずは以下の流れで対応してみましょう。
- 契約書・施術履歴・支払明細などを整理する
- ローン会社に改めて相談し、残債の減額交渉を行う
- 必要に応じて抗弁書の送付を検討する(内容証明郵便で送付)
- 第三者機関に相談して法的判断を仰ぐ
穏便な解決を望む場合は、書面でのやり取りを記録し、誠実な姿勢で交渉に臨むことが重要です。
まとめ:納得いく契約と対応のために冷静な判断を
「永久保証」という文言に安心して契約してしまう方も多いですが、ローン契約は別物であり、金銭的な義務は残ります。まずは契約内容を把握し、できるだけ交渉や相談を通じて、ブラックリスト入りを避けながら穏便な解決策を探りましょう。
どうしても納得がいかない場合は、専門家の力を借りることを恐れず、自身の権利と信用を守る行動を取りましょう。