飲食店で偶発的な事故に巻き込まれてしまった場合、謝罪の対応や補償内容に納得がいかないこともあるでしょう。特に、客として非がないにもかかわらず、誠意ある対応を受けられないと心理的な負担も大きくなります。今回は、飲食店などで謝罪対応に納得できないときにどのような対応が可能かを具体例を交えて解説します。
飲食店で起こる「物損」や「身体被害」の責任は?
飲食店で客に対し熱い汁物や飲料がかかるなどの事故が発生した場合、店側には過失責任が生じます。これは民法709条の不法行為に該当し、実際に損害が生じていれば損害賠償請求も可能です。
たとえば、「熱い汁物が服にかかり着用不能になった」「火傷した」「精神的に強いショックを受けた」など、被害が明確であれば、謝罪だけではなく具体的な補償や治療費・慰謝料を請求する余地もあります。
クリーニング対象でない衣服や精神的苦痛はどう請求する?
普段着などの「クリーニング非対応衣類」に汁物がかかった場合、店側の「クリーニング代対応」だけでは不十分に感じるのも自然です。このようなケースでは、衣類の再購入費相当の請求や、精神的苦痛に対する慰謝料も視野に入ります。
具体的な対応としては、被害内容と精神的苦痛、損害額を簡潔にまとめた書面を作成し、店舗本部に送付することが効果的です。消費生活センターに相談することも、第三者的立場からの調整役として有効です。
店舗側の対応が不十分だったと感じたときのステップ
店長や本部が謝罪のみで対応を打ち切ろうとする場合、次のステップを踏むことが可能です。
- 被害内容を記録し、写真・診断書などの証拠を残す
- 店舗に再度文書で正式な要望書を送る
- 消費生活センターに相談(電話やオンラインで可)
- 法テラスや弁護士に相談し損害賠償請求を検討
特に、企業の本部窓口には「クレーム」ではなく「正当な苦情・要望」として提出する姿勢が重要です。
カスハラ(カスタマーハラスメント)との境界線に注意
近年は「カスハラ」と呼ばれる、過剰な要求をする顧客への対応が注目されています。とはいえ、法的根拠に基づいた正当な損害賠償の要求はカスハラには該当しません。
重要なのは、冷静かつ論理的に主張し、暴言や威圧的な態度を避けることです。言い方一つで相手の対応も大きく変わるため、「感情」より「論理」で訴えることが効果的です。
まとめ:納得できないときは第三者の力も借りて
飲食店での不意な事故に巻き込まれた場合、納得のいく謝罪や対応を受けられなかったとしても、泣き寝入りする必要はありません。事実に基づき記録を取り、適切な方法で主張を続けることが大切です。消費生活センターや法テラスなどの第三者機関を活用することで、状況をより公正に解決できる可能性も広がります。