駐車場内での軽微な接触やトラブルが、思いがけず大きな問題に発展するケースは少なくありません。特に自賠責保険のみの加入者にとって、対応や交渉の方法には慎重さが求められます。今回は、歩行者との接触によって人身事故とされた事例をもとに、自賠責保険の範囲、法的義務、トラブルを回避するための対処法について解説します。
自賠責保険と任意保険の違いとその限界
自賠責保険は法律で義務づけられている「対人補償」に限定された保険であり、相手がケガをした場合の最低限の治療費等を補償するものです。一方で、物損事故や慰謝料、弁護士費用などは補償対象外となり、任意保険に加入していないと自己負担になる場合があります。
たとえば、任意保険の「人身傷害補償保険」や「弁護士費用特約」があれば、事故後の交渉やトラブル対応が保険会社経由でスムーズに行えますが、自賠責のみではそれができません。
接触された側の行動がきっかけで事故になった場合は？
駐車中の車両が切り返しをしていた際に歩行者が接近し、車両を叩いたという状況では、双方に過失がある可能性もあります。特に歩行者側が不意に接近したことでケガをした場合、過失割合や損害額について争点となることが多いです。
診断書が提出されたことで「人身事故扱い」にはなりますが、事故態様が軽微で、故意や重大な過失がなければ刑事処分が下ることはまれです。
現場で自賠責保険のみであることを伝えなかった場合の影響
相手に自賠責しか加入していないと伝えていなかったことで、のちの対応が荒くなる、または不信感を招くことはあり得ます。しかし、現場で告知義務があるわけではなく、後から伝えても法的な問題はありません。
相手の対応が威圧的だったとしても、冷静に状況を記録し、必要であれば警察や弁護士に相談することで対処可能です。
相手方からの理不尽な要求や脅迫にどう対応するか
事故後に「ヤクザのような口調」の男性が電話してきたという点においては、明らかに不当な請求や脅迫が含まれる可能性があります。脅しや不当請求は民事・刑事の観点で対処が可能です。
このような場合には、最寄りの警察署または消費生活センターに相談を行い、やり取りの録音・メモを残しておくことが重要です。電話番号がわかれば着信履歴も保全しておきましょう。
今後の対応策：冷静かつ記録を重視して動く
- 事故状況をメモに残す（写真や録音があればベター）
- 相手と交渉しない。連絡は避けるか、書面で記録が残る形で行う
- 第三者（弁護士、消費者センター等）に相談する
- 必要があれば法テラスで無料相談を活用
また、今後同様のトラブルを避けるためにも、任意保険の加入を強く検討すべきです。
まとめ：感情的にならず、正しいルートで解決を
軽微な事故でも、相手によっては思わぬ要求や強硬な姿勢を取られることがあります。ですが、自賠責のみであっても法的に誠実に対応していれば責任を超えて問われることはありません。必要に応じて第三者を交えて、冷静に対応することが大切です。
万が一、脅迫まがいの言動があった場合は、ためらわずに警察や法律の専門家に相談してください。自身の身を守るためにも、記録と証拠の保存を常に心がけましょう。