交通事故を防ぐためには、道路標識や信号機の有無だけでなく、道路交通法に基づいた優先順位や運転者同士の配慮が不可欠です。特に、信号や一時停止の標識がない交差点では、判断が難しくなる場面が多くあります。今回は、原付が左折しようとしている場面で車が直進する状況に焦点をあて、交通ルールの観点から正しい行動を解説します。
交差点の優先順位はどう決まる?
道路交通法第36条では、交差点に進入する際の優先関係について明記されています。基本的には、「左方優先の原則」が適用されるため、交差点で対向車線が交わる際には、左側からくる車両に進行の優先があるとされています。
今回のケースでは、原付が左折のウインカーを出しており、左端に寄っていたという点が重要です。つまり、原付は進路を左折に変更する合図を出していたため、それを追い越して直進する行為は慎重を要します。
原付の動きを見てから行動すべき理由
道路交通法第34条第5項では、交差点やその手前で左折しようとする車両に対し、後続車両はその動作を妨げてはいけないと定められています。つまり、原付が左折する意思を見せている場合は、直進車であってもその動作を妨げないように減速や停止が求められるのです。
この点から見ても、右から追い越して直進しようとする行為は、原付の動作を妨害する可能性があり、危険とされます。
さらに複雑にする「右折車」の存在
このような状況でさらに注意すべきは、左折しようとしている原付と直進しようとする車、そしてその左折先の道路から右折して出てこようとする車がいる場合です。これにより、三方向から車が交差点に集中し、衝突のリスクが高まります。
特に右折車と直進車は、進行方向が交差するため、交通事故の原因となりやすいです。この場合も、基本は「左方優先」「直進優先」が適用されますが、安全確認と譲り合いが最優先です。
実例:同様の事故が生じたケース
過去には、原付の左折中に車が追い越して接触し、直進車の過失が問われた裁判事例があります。このように、左折や右折の意志を示している車両に対する追い越しや割り込みは、過失の割合が高くなる傾向にあります。
また、原付側も明確に合図を出さずに進路変更を行った場合は、過失が認められることもあり、両者に注意が必要です。
交通トラブルを防ぐためのアドバイス
- ウインカーを出している車両の前方への割り込みや追い越しは避ける
- 一時停止や信号がない交差点では、徐行・一時停止を意識する
- 左右の確認だけでなく、周囲の動きや意図を観察する
- 他車の運転行動に対して、過信せず余裕を持って行動する
これらを意識することで、不慮の事故を防ぐことが可能です。
まとめ:優先関係だけでなく「安全第一」が基本
結論としては、たとえ自分が優先であっても、周囲にウインカーを出している車両があれば、無理に通過しようとせず、安全な間隔を確保することが大切です。特に、原付や自転車などの小型車両は見落としやすく、判断ミスによる事故が起こりやすい傾向にあります。
自分に過失があるかないかを気にする前に、事故を未然に防ぐ運転を心がけることが、ドライバーとして最も重要な姿勢です。