人気漫画・映画『ミナミの帝王』に登場する「トイチ(10日で1割)」の高金利貸金業者は、フィクションとは思えないリアリティがあります。では実際のところ、このような闇金業者は現代日本にも存在しているのでしょうか?法律の視点と実例を交えて解説します。
トイチとは何か?利率の意味と違法性
“トイチ”とは「10日で1割(10%)」の利息という意味で、1ヶ月では約3割、年率にすると365%超にもなります。日本の貸金業法では、利息制限法により以下のように上限金利が定められています。
- 元本10万円未満:年20%
- 10万円〜100万円未満:年18%
- 100万円以上:年15%
つまり、トイチは完全に違法です。刑法では「出資法違反」「貸金業法違反」「利息制限法違反」に該当し、場合によっては懲役刑や罰金刑となります。
闇金は今も存在するのか?
結論から言えば、形を変えて今も存在しています。警察庁や金融庁の摘発記録によれば、2020年代以降も「個人間融資」や「ソフト闇金」と称して活動する業者がSNSや掲示板を通じて貸付を行い、違法な取り立てや高利貸しが報告されています。
特にスマホだけで完結するLINE融資、プリペイドカードの現金化などの手法は、若年層や経済的困窮者をターゲットにした新手の闇金手口として問題視されています。
実際に起きた“トイチ”に近い事例
ある実例では、フリーターの男性が「3万円即日融資」とSNSで見かけた業者に連絡。10日ごとに利息1万円を払うよう要求され、元金が一切減らずに数ヶ月で10万円以上の返済を強いられました。
また、貸付の担保として身分証の写真や携帯の連絡先を抜き取られ、「家族や職場に連絡する」と脅された事例も多数報告されています。これらは典型的な闇金手口です。
違法な取り立てとそのリスク
『ミナミの帝王』のような暴力的な取り立てこそ減少していますが、現代の闇金は精神的な圧迫を重視した巧妙な手口を用います。
- 毎日のように電話・LINEで連絡
- 「SNSで名前を晒す」と脅す
- 職場や家族への連絡を仄めかす
これらはすべて「貸金業法21条(取立行為の規制)」や「ストーカー規制法」などに違反する可能性があります。
借りてしまった場合の対処法
もし違法な金利で借りてしまった場合、まずすべきは専門機関への相談です。以下の機関が無料で対応してくれます。
また、闇金はそもそも契約自体が違法であるため、返済義務が認められないケースも多く、利息を含めた返還請求も違法とされます。
まとめ:フィクションのようで現実に存在する“トイチ”の闇金
『ミナミの帝王』に描かれたような“トイチ”のヤミ金は、今なお形を変えて存在しています。違法金利での貸付、脅迫的な取り立て、SNSを通じた個人間融資の罠など、私たちの身近に潜んでいます。
もしそうした貸付に関わってしまった場合は、一人で悩まず専門機関に相談することが最優先。合法の金融サービスを活用し、冷静に対処することが大切です。