自己破産の申請中は、経済的な困窮からどうしてもお金を必要とする場面があります。その中で「キャリア決済の現金化」に手を出してしまう人も少なくありません。しかしこの行為、実は思わぬ法的・手続的なリスクを含んでいます。この記事では、自己破産中のキャリア決済現金化の実態と、それによって起こりうる影響、対処法について詳しく解説します。
キャリア決済の現金化とは何か?
キャリア決済とは、スマホの通信料金に上乗せして買い物ができる仕組みです。これを悪用し、換金性の高い商品を購入して転売することで現金を得る行為を「キャリア決済の現金化」と呼びます。
一見すると合法的なように見えるこの方法ですが、実態としてはグレーゾーンを通り越して、違法性が問われる場合もあります。特に、携帯会社の規約違反や詐欺的意図が認められると、法的トラブルにつながる可能性があります。
自己破産中に現金化すると何が問題になる?
自己破産手続きでは、「誠実に手続きを進めること」が前提です。その中で、新たな借金や債務を隠して金策する行為は、裁判所や管財人の信頼を損ねる重大なリスクがあります。
特にキャリア決済による商品の購入→転売→現金化は、事実上の新たな借金とみなされる場合があり、「免責不許可事由(破産法252条1項)」に該当する可能性があります。
実際に起きたトラブルの例
ある男性は、破産手続き開始後に5万円相当の商品をキャリア決済で購入し、即日で現金化。転売益で生活費を補おうとしましたが、後に管財人に発覚し、「免責許可」が取り消されました。
別の例では、審査中の現金化行為がバレたことで「浪費や不誠実な対応」と判断され、免責が一時保留となり、追加で事情説明と謝罪文の提出を求められました。
どうしても生活費が必要なときの代替案
- 法テラスの生活援助制度:弁護士費用や生活費の立替支援がある
- 地域の社会福祉協議会:緊急小口資金や生活福祉資金など無利子支援が受けられる可能性
- 役所の生活困窮者支援:生活保護や一時支援金の相談も有効
一時的な資金不足であっても、正当な制度を活用することで手続きに悪影響を与えることなく乗り越える道があります。
万が一現金化してしまった場合の対処
すでに行ってしまった場合でも、すぐに弁護士へ相談することが大切です。自己申告により誠意を見せることで、免責不許可を回避できるケースもあります。
反対に、隠し続けたまま管財人に発覚した場合、「故意に財産を隠した」とみなされ、最悪の場合免責が完全に取り消されてしまいます。
まとめ:正しい判断が自己破産成功のカギ
自己破産中のキャリア決済による現金化は、免責が取り消される恐れがある非常にリスキーな行為です。どうしてもお金が必要なときは、国や自治体の支援制度を使い、正当な方法で対応しましょう。
万が一、すでに行ってしまった場合でも弁護士への早期相談と正直な申告が、今後の手続きを左右します。焦らず、法的に適切な対応を取ることが何よりも重要です。