交通事故で「10対0」の被害者となった場合、通院に対する慰謝料が支払われます。なかでも“弁護士基準(裁判基準)”は、自賠責基準や任意保険基準より高額であるため注目されています。本記事では、3ヶ月(約90日)通院した場合の弁護士基準による慰謝料と、弁護士費用を差し引いた場合の“実際の手取り額”について、具体的にご説明します。
■弁護士基準での慰謝料相場(3ヶ月通院)
交通事故のむち打ちで3ヶ月通院した場合、弁護士基準での慰謝料相場は約53万円です。
これは、日常的な通院(週2~3回程度)を前提とした「通院期間ベース」の計算であり、症状や頻度により増減することもあります。
■この53万円は“手取り”ではない?
この金額はあくまで「加害者側保険会社から受け取れる金額の目安」であり、弁護士を依頼した場合には報酬が差し引かれるため、全額が手元に残るとは限りません。
弁護士特約がない場合、自費で弁護士を依頼することになります。
■弁護士報酬の一般的な計算方法
報酬体系は事務所により異なりますが、一般的には以下のような構成です。
- 着手金:0〜10万円(完全成果報酬型なら不要)
- 成功報酬:獲得額の10%〜20%程度+消費税
たとえば報酬が16.5%(15%+税)だとすると、53万円の慰謝料から約87,450円が差し引かれます。
つまり、手取りはおおよそ46万2,550円という計算になります。
■実際の手取り額シミュレーション
項目 | 金額 |
---|---|
慰謝料(弁護士基準) | 530,000円 |
弁護士報酬(15%+税) | -87,450円 |
手取り見込み額 | 462,550円 |
※報酬率は事務所によって異なるため、事前に確認が必要です。
■弁護士に依頼する価値はある?
任意保険会社が提示する慰謝料は、弁護士基準より10万円〜30万円低いことも多いため、弁護士に依頼することで結果的に“手取りが増える”ケースもあります。
たとえば、示談交渉なしだと35万円の提示だった場合でも、弁護士が介入して53万円に上がったなら、報酬を差し引いても手元に残る金額は大きくなります。
■弁護士費用特約がない方へのアドバイス
- 費用無料・完全成功報酬型の事務所を選ぶ
- 事前見積もりで“報酬率と手取り額”を明確に提示してくれるところを選ぶ
- 無料相談を複数受けて比較することが重要
費用倒れを防ぐためには、まず“弁護士基準での増額幅”がどれくらいかを把握するのがポイントです。
■まとめ
・3ヶ月通院した場合、弁護士基準の慰謝料相場は約53万円
・弁護士特約がない場合、そのうち10〜20%程度が報酬として差し引かれる
・報酬率15%+税で計算すると、手取りは約46.2万円
・示談金の増額によって報酬を引いても“得をする”ケースが多いため、無料相談の活用が鍵です
納得のいく示談にするためにも、情報収集と慎重な判断が必要です。