美容医療やエステの施術を予約したものの、事情が変わってキャンセルしたいと思った経験はありませんか?とくに前払い制のサロンやクリニックでは、返金が難しいケースもあり、消費者トラブルに発展することもあります。この記事では、契約前後で確認すべきポイントと、返金やキャンセルができるかの基準をわかりやすく解説します。
施術前でもキャンセルできない?「特別価格」や「役務外」表示の落とし穴
一部のクリニックやサロンでは「特別価格」や「役務対象外」といった文言を使い、キャンセル・返金を原則不可とする規定を契約書に設けています。
しかし契約の自由があるとはいえ、消費者保護の観点から「一方的すぎる内容」は無効とされる可能性もあります。特に、説明が不十分な場合や、誤認を誘う表現があった場合には、消費者契約法や民法により無効と主張できるケースがあります。
クーリングオフ制度は適用される?
エステ契約や美容サービスは「特定継続的役務提供」に該当し、下記の条件を満たせばクーリングオフが可能です。
- 契約期間が1か月超
- 金額が5万円超
よって、「金額が5万円未満」の場合は形式的にはクーリングオフの適用外です。しかし、一括支払いで実質的に分割性がある場合など、状況によって例外判断されることもあります。
支払済でも施術前なら交渉の余地あり
施術を一度も受けていない場合、たとえクーリングオフの対象外であっても、民法上の「契約解除の申し入れ」が認められることがあります。
たとえば、「契約時に返金不可の説明が不十分だった」「予約日まで時間がある」など、状況に応じて業者側と話し合い、全額ではなくても一部返金に応じてもらえることもあります。
カード会社にチャージバックを依頼できる可能性
クレジットカード払いをした場合、カード会社に「チャージバック(支払い取消請求)」を申請できる可能性もあります。ただし適用には条件があります。
- サービスが未提供である
- 不当な契約内容が証明できる
- 加盟店が加盟規約に違反している
証拠として、契約書・やりとりのメール・説明書などを用意し、早めにカード会社に相談することが大切です。
実際の相談例と消費生活センターの対応
事例:30代女性がキャンペーン価格でシミ取り施術を契約後、経済的理由でキャンセルを申し出たが返金拒否。施術は未実施。
対応:契約内容に不備がある可能性があったため、国民生活センターを通じて事業者と交渉。全額ではないが一部返金が実現した。
まとめ:泣き寝入りしないための行動ポイント
- 契約書の内容をしっかり読み、納得してから支払う
- 施術前であれば解約・返金の交渉余地あり
- クーリングオフの対象か条件を確認
- カード払いならチャージバック制度の検討
- 最終手段として消費生活センターに相談
前払い制の美容医療サービスでは、契約段階での注意と冷静な対応が非常に重要です。いざという時に備え、消費者としての権利と対応策を知っておきましょう。