高校生など未成年が誤って居酒屋を予約し、保護者の判断で当日キャンセルとなった場合、店舗からキャンセル料を請求されることがあります。このようなケースで、法律上はどのような扱いになるのでしょうか?未成年者契約や店舗側の責任などを分かりやすく解説します。
未成年者が結んだ契約は原則として取り消しが可能
民法第5条では、未成年者が親の同意なしに結んだ契約は取り消すことができると定められています。居酒屋の予約も法律上は「契約」にあたるため、高校生が一人で行った場合は、保護者が後からその契約を無効にできる可能性があります。
ただし、見た目が大人であるなど、店舗が未成年であると知る手段がなかった場合は、取消しが認められないこともあります(同条3項・「相手方が成年と信じた場合」など)。
居酒屋が未成年と知っていた場合の責任
もし居酒屋側が予約時に「高校生」「未成年」と把握していたにもかかわらず予約を受けていた場合、未成年者飲酒防止義務に反している可能性があります。
このようなケースでは、店舗側にも社会的配慮義務が求められ、「契約自体が無効」とされる主張が認められやすくなります。特に飲酒が前提とされる店舗では、年齢確認を怠ること自体がリスクとされます。
キャンセル料の支払い義務はあるのか?
契約が有効であれば、キャンセル料規定に基づく請求が可能です。しかし、契約自体が未成年者取消しに該当する場合や、公序良俗違反が認められるような場合は、キャンセル料の請求は無効になる可能性があります。
一方で、キャンセルが当日であり、料理の仕込みや人員手配が完了していた場合は、信義則上の補償を求められる可能性もあります。契約の有効性と実際の損害のバランスが判断のカギです。
実例:未成年の契約トラブルとその対応
たとえば、大学進学前の18歳が旅行代理店と結んだ契約を保護者が取り消したケースでは、「親の同意がなかった」として契約無効が認められました。
一方で、未成年でも社会通念上“自立していると見なされる状況(アルバイトの収入で支払いをするなど)の場合には、取消しが難しくなる傾向もあります。
対応のポイント:支払う前にまず相談
もし相手が高圧的な態度をとる場合でも、安易に支払ってしまわず、法的に正当かどうかを見極めることが重要です。
まとめ:未成年の予約は契約取消が可能な場合あり
高校生が行った居酒屋の予約は、民法上の「未成年者取消し」が認められる余地があります。そのため、キャンセル料の支払い義務が必ずしも生じるとは限りません。
まずは落ち着いて店舗側に連絡し、未成年であったことと保護者の意向を丁寧に説明しましょう。必要に応じて専門機関に相談し、正当な権利を守ることが大切です。