英会話スクールや習い事の無料体験後、「入会したい」と意思表示をしただけで高額なキャンセル料や月謝を請求される——このようなトラブルは珍しくありません。契約の成立要件や支払義務の有無、法的な対応策について、消費者目線でわかりやすく解説します。
「入会したい」と伝えただけで契約は成立するのか?
契約とは、当事者間の「申し込み」と「承諾」が一致して初めて成立するものです。ただし、書面がなくても口頭で合意があれば契約自体は成立します。しかし、法律上有効であるかと、実際に支払義務が発生するかは別問題です。
たとえば、英会話教室側が契約内容(料金、開始日、サービス内容等)を明示せずに「入会の意思表示があったから契約成立」と主張する場合、その契約の有効性は疑われます。具体的な申込書や同意文書の署名がなければ、証拠としても弱いです。
キャンセル料や月会費の請求は支払う義務がある?
消費者契約法や民法では、不当な契約や過大な違約金には無効を主張できる余地があります。特に以下のような条件では、支払義務を否定できる可能性が高くなります。
- 正式な契約書にサインしていない
- サービス提供(レッスン開始)が一切行われていない
- 支払い義務やキャンセルポリシーの説明が事前になかった
また、経済産業省や消費者庁も、習い事や英会話スクールによる「契約トラブル」には注意喚起を行っています。証拠があれば、消費者センターを通じて交渉・調整することが可能です。
脅しや威圧的な言動があった場合の対応
「支払わなければ法的措置を取る」「親族に伝える」などの発言は、内容や口調によっては不当請求や脅迫にあたるおそれがあります。冷静に対応し、会話の記録(メール・LINE・録音)を残しておくことが重要です。
相手の対応に不安を感じる場合は、消費生活センターや法テラスへの相談を検討しましょう。相談内容に応じて、弁護士による初回無料相談や法的手続きを案内してくれることもあります。
トラブルを未然に防ぐために確認すべきこと
英会話教室やスクールに申し込む際には、次の点を確認しましょう。
- 契約書(重要事項説明)の有無と内容
- 月会費、初期費用、キャンセル料の規定
- サービス開始日、支払スケジュールの明確化
また、無料体験後すぐに意思決定を求められる場合は「一度持ち帰って検討します」と伝え、強引な勧誘を避ける姿勢をとることも大切です。
返金やキャンセルに関する相談先
すでに支払った場合や請求されている場合は、以下の窓口に相談すると中立的な立場で助言が受けられます。
- 国民生活センター(消費者ホットライン 188)
- 法テラス(法的トラブルの相談窓口)
- 各地の弁護士会による無料法律相談
証拠資料(メール、LINE、パンフレットなど)があれば相談がスムーズになります。
まとめ:契約トラブルから身を守るために
「入会したい」と口頭で伝えたとしても、それだけで支払義務が発生するとは限りません。契約書への署名、サービス開始の実態、料金説明の有無など、具体的な条件が伴って初めて、請求に正当性が生まれます。
脅しに屈せず、法的根拠に基づいた行動をとることが、トラブル解決の第一歩です。まずは専門窓口に相談し、冷静かつ正当な対応を心がけましょう。