車で通勤中にロードバイクを追い越したところ、すれ違いざまに大きな声を出された経験があるという方も少なくないのではないでしょうか。接触もなかったように見えるし、相手もそのまま走り去った。でも「あれは事故だったのでは?」と後になって不安になるケースもあります。この記事では、車と自転車のすれ違いにおける注意点や、通報すべきかどうかの判断軸、適切な対応について詳しく解説します。
車と自転車のすれ違い時に気をつけたい安全距離
道路交通法第35条や第38条には、車両が自転車を追い越す際には安全な側方間隔を保つ義務が定められています。目安として、時速40kmであれば最低1.5メートル以上空けるのが理想です。
しかし、道幅が狭い場合や自転車がフラついている場合は、さらに慎重な運転が求められます。ロードバイクはスピードが速く、風圧やわずかな接近でも驚いて声を出すことがあります。
接触がなかった場合でも事故になる可能性
「ぶつかっていないから大丈夫」と思いがちですが、接触がなかったとしても、相手が危険を感じて転倒したり、走行に支障をきたした場合は「非接触事故」として扱われる可能性があります。
例えば、あなたの車の接近が原因でバランスを崩し、自転車が自ら転倒した場合でも、「運転者に注意義務違反があった」と判断されるケースがあります。こうした場合、物損や人身事故として処理される可能性が出てきます。
通報すべきかどうかを判断するポイント
以下のような状況に心当たりがある場合は、警察に連絡しておくことをおすすめします。
- 追い越した直後に相手が怒鳴ったり大声を出した
- ミラー越しに相手が立ち止まった、バランスを崩したように見えた
- 帰宅後も「何かあったのでは」と不安が残る
連絡といっても、必ずしも「事故」として届け出る必要はなく、「○時頃、○○で自転車を追い越した際に何か声を上げられた。事故ではないと思うが念のため記録しておいてほしい」という形でも構いません。後から通報が入った場合に、誠実に対応した証拠になります。
実際のトラブル事例とその後の処理
過去には、運転者が接触していないと思って立ち去ったものの、後日相手が転倒し通報、警察から呼び出されるというケースが報告されています。このような場合、「事故現場から立ち去った」ことが問われ、「報告義務違反(道交法72条)」が適用されることもあります。
逆に、運転者がその場で停止して確認した、あるいは警察に連絡していた場合、故意や過失がなかったことが証明され、処分を免れた事例もあります。
ドライバーとして心がけたい防止策
今後同じような場面でトラブルを防ぐために、以下の点を意識するとよいでしょう。
- 追い越す前にクラクションではなく十分な車間距離を意識
- 自転車に近づくときは速度を落とし、なるべく道路の中央寄りを走る
- 相手が大声を出したら、数秒間ハザードを出して後方確認を行う
「たぶん大丈夫だろう」と流すよりも、「念のため止まって確認」することが、結果的に自分を守ることになります。
まとめ:迷ったら連絡、疑問が残ったら確認を
自転車を追い越した際、相手が大声を出していたという状況は、何らかの不満や危険を感じていた可能性があります。接触がなくても、事故として後から問題になる可能性がゼロとは言い切れません。
そんなときは、迷ったら警察に連絡しておくのが賢明です。報告しておくだけで、あなたの誠実さが後の証拠になります。ドライバーとしての責任を果たしつつ、冷静な判断を心がけましょう。