交通事故の中でも、轢き逃げ(ひきにげ)は刑事責任・行政処分・民事賠償のすべてが関係する重大な違反行為です。この記事では、加害者の罰金の相場や、被害者として注意すべき交渉・示談のポイントをわかりやすく解説します。
轢き逃げの法的定義と適用される違反
轢き逃げには通常、「救護義務違反(道路交通法第72条1項)」と「報告義務違反(同条第2項)」が適用されます。さらに、被害者に怪我がある場合は「過失運転致傷罪(刑法第211条)」も問われます。
これらの違反に対しては、刑事罰だけでなく行政処分(免許停止や取消)も科され、かなり重い処分となります。
轢き逃げ加害者に科される罰金や刑罰の目安
実際に科される罰金や刑期は事案によって異なりますが、以下のような例があります。
- 救護義務違反・報告義務違反:10年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 過失運転致傷罪(骨折など):7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金
これらは単独でなく複数が併用される可能性が高く、刑事裁判では実刑や執行猶予付き判決となる場合もあります。
加害者が示談を申し出たときの注意点
加害者が「罰金と同額を支払うから物損で処理してほしい」と言ってくることがありますが、人身事故を物損扱いにすることは、被害者にとって非常に不利になる可能性があります。
たとえば、通院費や後遺障害の補償、慰謝料の請求ができなくなるリスクがあります。また、刑事事件での処分も軽くなりやすいため、安易に応じることは避けるべきです。
示談を進める際の安全な手順と交渉術
加害者とのやり取りは口頭ではなく書面で行い、できれば弁護士を通じて行うのが安全です。自分で交渉する場合は以下の点に注意してください。
- 診断書を取得し「人身事故」扱いにする
- 加害者に謝罪と損害賠償を明確に求める
- 示談金額に納得できなければ応じない
- 書面で示談書を作成する(弁護士監修が望ましい)
相手に保険がなく、費用を現金で支払う意向があっても、それはあなたが「損しない」ための条件を満たしているかどうかが重要です。
弁護士特約がなくても利用できる支援
自分の任意保険に弁護士特約がなくても、以下のような支援が受けられます。
- 法テラス(日本司法支援センター):無料法律相談・弁護士費用の立替え
- 地方自治体の法律相談窓口:30分無料など
- 被害者支援センター:精神的支援や法的助言
また、費用が心配な場合でも、弁護士費用を損害賠償として相手に請求できる可能性もあります。
まとめ:冷静に対応し、自分の権利を守るために行動を
轢き逃げに遭った被害者は、加害者の罰則だけでなく、自身の補償・治療費・精神的苦痛に対する賠償を正当に求める権利があります。示談交渉には冷静さと準備が必要です。
法的に不明点がある場合は、弁護士や法テラスの活用を迷わず検討し、自身の不利益にならない選択を心がけましょう。