商品に「税込価格」と「税抜価格」が両方表示されていると、買い物の際に混乱するという声は少なくありません。なぜ小売店やメーカーはわざわざ2種類の価格を併記するのでしょうか?この記事ではその理由と背景、そして消費者が迷わず価格を理解するためのポイントをわかりやすく解説します。
価格表示に関する法律上のルール
日本では、消費税法と「総額表示義務」により、消費者に提示される価格は原則として税込価格(総額)での表示が義務づけられています(例:税込1,100円)。これは2004年4月から施行された制度で、消費者の誤認防止を目的としています。
ただし、期間限定で「税抜価格併記」が認められた時期もあり、現在も実務的には「税込・税抜の併記」や「税抜価格+税表記」が混在しています。
なぜ税込と税抜の両方を表示するのか
事業者が両方表示する主な理由は以下の通りです。
- 事業者間取引では税抜価格が基本(BtoBでは仕入・経費計算が税抜単位)
- 税率変更時の価格改定に対応しやすい(税抜価格は固定し、税率だけ変更できる)
- 値ごろ感を演出(「本体価格980円」など心理的に安く感じさせる)
このように、販売現場の工夫や事務処理効率の都合も併記の理由となっています。
実際の店頭表示の例と工夫
例えばスーパーでは「本体価格198円(税込217円)」のように表示され、家電量販店では「税抜価格××円(税込価格はレジにて計算)」と書かれていることもあります。
これは業種や価格帯により、消費者の行動や感覚に合わせて最も分かりやすい表記を模索している結果です。
消費者が混乱しないためにできること
価格を見る際は「税込価格が最終的に支払う金額」であることを意識しましょう。税抜価格だけが強調されている場合は、店員に確認したりレジ表示で最終金額を確認するのも有効です。
また、オンラインショッピングや請求書では「税込価格」を自動計算してくれるシステムが多いため、安心して利用できます。
今後、価格表示はどう変わる?
今後も消費税率が変動する可能性があるため、企業側は「柔軟に対応できる税抜表示」を残したい意図があります。
一方で、国は引き続き「総額表示の徹底」を基本方針としており、消費者にわかりやすい価格表示の努力が求められています。
まとめ
税込と税抜が併記されるのは、消費者保護と事業者の合理性を両立させるための工夫です。見た目にはややこしく感じられるかもしれませんが、最終的な支払額は「税込価格」であることを意識すれば、トラブルや誤解を防げます。価格表示の背景を理解し、賢く買い物をする参考にしてみてください。