交通事故の慰謝料と通院期間の関係|人身事故・物損事故で異なる賠償の仕組み

交通事故に巻き込まれた際、多くの被害者が気になるのは「どのような補償が受けられるのか?」という点です。特に、通院期間が短かったり、物損事故として処理された場合、「慰謝料はもらえるのか?」という疑問が生まれやすいです。本記事では、人身事故と物損事故における慰謝料や通院日数との関係について、具体的に解説します。

◇人身事故と物損事故の違いとは?

まず、人身事故は「人がケガをした事故」で、物損事故は「モノ(車やバイクなど)だけが壊れた事故」を指します。この違いにより、保険の適用範囲や慰謝料の支払い有無が大きく変わります。

人身事故として届け出がされていない場合、原則として慰謝料の請求が難しくなるため、ケガをした場合には必ず人身事故として警察に届けることが重要です。

◇通院1ヶ月でも慰謝料はもらえる?

人身事故として扱われていれば、たとえ通院が1ヶ月のみであっても慰謝料は支払われます。慰謝料は通院日数に応じて計算され、「実通院日数 × 4,300円」や「通院期間 × 4,300円」などの計算式が使われます(基準は自賠責保険の場合)。

たとえば、週2回通院して4週間なら、実通院日数は8日であり、「8日×4,300円=34,400円」が基準となることがあります。

◇物損事故扱いにするとどうなる?

物損事故として届け出た場合、原則として慰謝料は支払われません。理由は、ケガをしたという公的な証明(診断書や人身事故届出)が存在しないからです。

仮に「軽傷だから」として物損事故扱いにした場合でも、後日痛みが出て病院に行ったとしても、慰謝料請求が難しくなる可能性があります。

◇加害者が100%悪い場合でも注意が必要

加害者側が100%過失を認めているケースでも、事故の届け出内容により賠償の範囲が変わることに注意が必要です。人身事故として扱っていなければ、慰謝料・通院交通費・休業損害などが補償されない可能性があります。

そのため、事故直後は痛みがなくても、体調に不安がある場合は病院で診察を受けて、診断書を取得して警察に人身事故として切り替えることが大切です。

◇実際の相談例:物損事故扱いにしてしまったケース

ある相談者は、追突事故に遭った直後に痛みがなかったため物損事故として処理。しかし2日後から首に強い痛みが出て病院で「むちうち」と診断されました。その後、加害者側保険会社に慰謝料請求を試みたものの、人身事故として届け出されていなかったため断られました。

このようなケースでは、事故直後に警察へ人身事故として届け出ていれば、適切な補償が受けられた可能性が高かったと考えられます。

◇まとめ:事故後の対応が補償の分かれ道

交通事故で被害者となった場合、通院期間が1ヶ月であっても「人身事故」として警察に届け出ていれば慰謝料を受け取れる可能性は十分あります。逆に、「物損事故」として処理されてしまうと、たとえ加害者が全面的に悪くても慰謝料が支払われないことがあります。

事故に遭ったらまずは病院で診断を受け、必ず人身事故の届け出を行うようにしましょう。

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