車を石で傷つけられたなど、故意による損壊被害を受けた場合、示談や保険対応など判断に迷う場面が多々あります。この記事では、犯人が特定され示談の話し合いが進んでいるケースを前提に、費用の請求方法や修理・買い替えの判断基準を丁寧に解説します。
加害者が特定されている場合の原則対応
加害者が故意に車を傷つけた場合は、民法709条の不法行為責任により、被害者は加害者に損害賠償を請求できます。この損害賠償には、修理費や代車代などの実費が含まれます。
そのため、修理費用の見積もりが確定した段階で、その金額を加害者に提示し、全額負担してもらうのが基本的な流れです。示談書を作成する際は、請求額や支払期日も明記しておくとトラブルを防げます。
自分の保険を使う必要はある?
原則として、加害者が特定され示談が可能な場合、自己の保険を使う必要はありません。保険を使用すると翌年度の等級が下がり、保険料が上がる可能性があるためです。
ただし、修理費用を一時的に立て替える場合や、加害者が支払不能・分割払いを申し出てきた場合は、ご自身の車両保険で先に修理して、保険会社が加害者に請求する「求償」という手続きも可能です。
見積額が高額な場合は買い替えも選択肢に
もし修理費が高額で、車の価値を超えるようであれば、修理せず買い替える判断も視野に入ります。この場合、見積もり金額を損害額として加害者に請求できるかは、加害者側との合意が必要になります。
事前に「買い替えた場合でも修理見積額を上限とした損害賠償を支払う」といった内容を、示談書に記載しておくことで、後のトラブルを避けられます。
示談書に明記すべき内容とは
- 被害内容と損害額(見積書の添付推奨)
- 支払い方法(現金・振込・分割など)と期日
- 今後の請求権放棄の有無
- 支払遅延時の対応(遅延損害金など)
法律上のトラブルを防ぐためにも、弁護士や法テラスなどの第三者に内容確認を依頼するのが安全です。
トラブルになりそうなケースでの対応方法
加害者が支払いを拒否、または連絡が取れない場合、民事訴訟や少額訴訟を検討することになります。被害額が60万円以下であれば、簡易裁判所で迅速に解決可能な「少額訴訟」制度を利用できます。
また、警察への被害届提出も、民事交渉を有利に進める材料になることがあります。
まとめ:冷静な対応と書面での合意がカギ
車の損壊被害を受けた場合、感情的にならず、被害額の根拠を見積書などで明確にし、示談内容を文書に残すことが最も重要です。自分の保険は基本的に使わず、加害者に全額を請求する方が原則。
トラブルや支払い遅延が懸念される場合は、法テラスなど無料法律相談を活用して、安心できる形で解決を目指しましょう。