駐車場内の事故は、道路交通法の適用が一部緩やかになるため、過失割合の判断が難航しがちです。特に坂道や狭い通路でのすれ違い時の事故では、被害者が停止中であったとしても加害者側が虚偽の主張をし、交渉が長期化することがあります。本記事では、停止中事故で「10対0」を主張する場合の注意点や証拠の活用、保険会社・弁護士との対応のポイントを解説します。
駐車場内の事故と過失割合の原則
一般的に、駐車場内での事故は「道路交通法の明確な優先関係」がないため、過失割合が5対5などになることが多いですが、明確に一方が停止していたことが証明できる場合、過失割合は0対10になる可能性があります。
たとえば、停車中の車両に対して動いていた車両が接触した場合、動いていた側に全責任が認定されやすく、ドラレコなどの証拠があれば10対0が成立する余地があります。
警察の判断と「民事不介入」の限界
警察は事故当日の実況見分などで「どちらが動いていたか」などの物理的事実を記録しますが、最終的な過失割合はあくまで保険会社間や民事裁判での判断になります。つまり、警察が「停止中だった」と確認しても、それだけでは自動的に10対0にはならないのが現実です。
とはいえ、警察が現場で「停止していた」と記録し、実況見分調書などに残している場合は、訴訟時においても有力な証拠になります。
ドラレコの記録と改ざんの問題
今回のように、加害者側が「上書きされた」などと主張してドラレコの記録を提出しない場合、それは不利な証拠隠滅と見なされる可能性があります。裁判になれば、ドラレコの提出を拒否することがかえって心証を悪くし、過失割合の判断に影響を与える場合もあります。
被害者側がドラレコを装着していなかったとしても、警察官の証言・記録、同乗者の証言、傷の位置や事故現場の写真などの補足資料が重要になります。
保険会社の対応と弁護士特約の活用
保険会社は、円満な示談を優先する傾向があり、たとえ被害者に非がなくても「五分五分にしましょう」と言ってくるケースもあります。このような場合は、弁護士特約を使って専門家に交渉を依頼することが非常に有効です。
物損事故であっても、弁護士特約が利用できる契約内容であれば、示談交渉や訴訟の費用が補償されるため、「泣き寝入り」せずに主張を通す手段が確保できます。
裁判になった場合の可能性と注意点
民事訴訟になった場合、実況見分調書・警察官の証言・現場写真・車両の損傷位置など、客観的な証拠が重視されます。証拠が明確であれば、停止中だった側が過失ゼロとされる判決が出る可能性は十分にあります。
ただし、裁判は数ヶ月から1年以上かかることもあるため、時間的・精神的負担も考慮して慎重に判断することが必要です。
まとめ:妥協せず証拠を活用して正当な主張を
今回のようなケースでは、事故当時の警察対応と証拠の有無が勝負を分ける鍵となります。自身に非がない場合は、弁護士特約を活用し、泣き寝入りせずに主張を通す姿勢が重要です。
物損事故であっても法的対応が可能であり、適切な証拠と法的サポートがあれば、過失ゼロの認定を勝ち取ることは十分に可能です。