パートナーシップ制度と不貞行為:訴えることは可能か?法的な対応と現状を解説

近年、日本でも多様な家族のあり方を認める動きが進み、自治体によるパートナーシップ制度の導入が広がっています。こうした制度のもとで生活するカップルにとって、信頼関係の維持は重要な課題です。では、もしパートナーが不貞行為をした場合、法的に訴えることはできるのでしょうか?この記事では、その現状と可能性についてわかりやすく解説します。

パートナーシップ制度とは何か

パートナーシップ制度とは、主に同性カップルを対象にした自治体の制度で、婚姻関係に準じる関係性を認めるものです。ただし、法的な婚姻とは異なり、国の民法上の効力は持ちません

たとえば、病院での面会や緊急手術の同意、公共住宅の入居申請などで配慮されることはありますが、相続や税控除などの法律上の権利は基本的に認められていません。

不貞行為とは何を指すのか

法律上の「不貞行為」とは、配偶者以外の者と性的関係を持つことを指します。これは一般的には民法上の「離婚理由」や「損害賠償請求の根拠」として扱われます。

しかし、パートナーシップ制度では配偶者としての法的地位がないため、厳密には「不貞行為」という法的な概念を直接適用することができません。

パートナーシップ制度でも訴えることは可能?

完全に不可能というわけではありません。裁判例はまだ少ないものの、「信頼関係を侵害されたことに対する損害賠償請求」として民法709条の不法行為に基づく訴訟を起こすことは理論上可能です。

実際に、同性カップルが不貞行為の相手に対して損害賠償を請求し、一部が認められたケースもあります。ただしこれはあくまで例外的な事例であり、裁判所によって判断が分かれることも予想されます。

証拠と事前準備の重要性

パートナーの不貞行為を理由に訴える場合、信頼関係の存在とその侵害を証明するための証拠が非常に重要です。たとえば、SNSのメッセージや写真、第三者の証言などがこれにあたります。

また、パートナーシップ宣誓書や自治体からの証明書を持っている場合には、二人の関係性を社会的に公にしていたことの裏付けになります。

道徳的側面と社会的な意味合い

法的効力とは別に、パートナーシップ関係にある相手が不貞行為を行った場合、精神的苦痛を感じるのは当然です。その意味で、訴訟以外にも第三者を交えた話し合いや調停などの選択肢を検討することも重要です。

加えて、LGBTQ+の権利が進む中で、パートナーシップ制度の法的地位向上を求める声が高まっている背景も踏まえると、こうした問題に対する法的整備の必要性も浮き彫りになっています。

まとめ:現状では訴訟は可能だが制約も多い

パートナーシップ関係にある相手の不貞行為に対して訴えることは、現在の法律の枠組みでも一部可能です。ただし、婚姻関係に比べて認められる範囲は限定的であり、証拠や状況によって判断が分かれるのが実情です。パートナーとの信頼関係を築くと同時に、いざという時のための知識と準備を持つことが大切です。

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