SNSやYouTubeでの誹謗中傷と書類送検の現実:ネット発信者が知っておくべき法的リスク

インターネット上での言論活動や情報発信は、表現の自由を支える大切な手段です。しかし、その自由には法的な責任も伴います。近年では、YouTubeやSNSを通じた誹謗中傷が刑事事件として扱われ、実際に書類送検されるケースも少なくありません。今回は、誹謗中傷が刑事事件に発展する流れや、注意点を事例を交えて解説します。

誹謗中傷と書類送検の関係とは?

「誹謗中傷」とは、他人の社会的評価を下げる目的で名誉を傷つける行為を指し、刑法230条「名誉毀損罪」や231条「侮辱罪」などの対象になります。特に近年は、ネット上の投稿が証拠として残るため、警察も捜査しやすく、書類送検に至るケースが増加しています。

書類送検とは、捜査機関が被疑者に関する事件資料を検察庁に送ることで、正式な起訴や不起訴の判断が下される前の段階です。軽視できない法的措置といえます。

誹謗中傷が問題視されるパターンと実例

たとえば、あるYouTuberが別のクリエイターに対して執拗に批判的動画を投稿し続けた結果、約2年後に名誉毀損で書類送検されたという事例もあります。被害者は発信当初からスクリーンショットや録画などを保全し、警察に通報したことで、証拠が蓄積された結果とされています。

一方で、意見や批判の域にとどまる内容であれば「公共性」「公益性」「真実性」などの要件によって名誉毀損が成立しない場合もあります。発信者はそれをよく理解しておく必要があります。

警告無視は悪質性を高める

被害者から警告や削除要請を受けていたにも関わらず無視し続けた場合、警察や検察が「悪質」と判断する傾向にあります。特に「警察からの警告」を無視して同様の投稿を続けると、書類送検や略式起訴に進む可能性が高くなります。

削除要請・通報を無視した行動は、裁判でも不利な判断材料として採用されるリスクがあります。

刑事と民事、二重のリスクがある

誹謗中傷は刑事事件(名誉毀損罪・侮辱罪)の対象になるだけでなく、民事訴訟(損害賠償請求)のリスクも伴います。実際に、ネット上の投稿一つで数十万円から百万円単位の損害賠償命令が出されるケースも多数存在します。

特に発信者にフォロワーが多い、影響力がある場合は「影響力に比例して責任も重くなる」として、賠償額も高くなる傾向があります。

被害を受けた場合にすべきこと

  • 問題となる投稿のスクリーンショットを時系列で保存
  • 削除前にWayback Machine等でも保存
  • 法テラスなどで弁護士に相談
  • 警察への被害届や告訴状提出の準備

警察への通報だけではすぐに捜査されないこともあるため、弁護士を通じて告訴する方が進展が早い傾向があります。

まとめ:ネットの発信は自由だが、責任が伴う

ネット上での発信は自由である一方、その自由には大きな責任も伴います。名誉毀損や誹謗中傷に該当する表現は、感情的であっても「法的責任を問われる対象」となります。

万が一トラブルに発展しそうな場合は、早めに専門家に相談し、冷静な対応をとることが重要です。発信者・受信者の両者がリテラシーを持ち、健全な情報発信を心がけましょう。

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