離婚協議は感情的にも時間的にも負担が大きいプロセスです。その中で相手側に弁護士がついている場合、連絡が遅く感じられたり、進展が滞っていると感じる場面も少なくありません。本記事では、そうした疑問や不安に対して、法律実務の観点から原因や対処法を解説します。
なぜ弁護士の対応が「遅い」と感じるのか
弁護士は慎重な言葉選びや事実確認を重視するため、即答を避けることがあります。また、複数の案件を並行して処理していることも多く、事務処理に一定の時間がかかるのは珍しくありません。
とはいえ、あまりに音沙汰がない、あるいは事務的なミスが続くようであれば、それは「業務の遅延」として正当な懸念です。弁護士にも業務規範があり、依頼者に対して誠実かつ迅速な対応が求められます。
弁護士が「わざと引き伸ばしている」ことはあるのか
一般的に言えば、弁護士が意図的に時間を引き延ばして報酬を稼ぐというのは非常に稀です。特に離婚協議では報酬が「着手金+成果報酬」型であることが多く、長引かせてもメリットがないケースが多いのです。
ただし、時間稼ぎが戦略的に使われる場合はあります。たとえば、相手の出方を見たい、証拠収集に時間が必要、あるいは依頼者の精神的整理を待つ、といった正当な理由がある場合です。
連絡が遅いときに取るべき対応
弁護士側の進捗が気になる場合、書面またはメールで「◯月◯日時点での進捗を教えてください」と確認するのが有効です。感情的にならず、冷静に問い合わせることがポイントです。
相手方の弁護士があまりにも対応に問題があると感じる場合は、自分も法的なサポートを受けることを検討するべきです。法テラスなど無料相談機関を利用して、弁護士の客観的な動き方について第三者の意見を得るのも一案です。
弁護士への信頼が不安なときの対処法
直接依頼している弁護士に対して不信感を抱いた場合は、まずは率直に質問し、説明を求めましょう。それでも納得できない場合は、セカンドオピニオンとして他の弁護士に相談するのも有効です。
弁護士会には「苦情相談窓口」もあります。対応が不誠実、過度な引き延ばし、説明責任の欠如などがあると感じたら、相談することで事実確認と改善を促せる可能性があります。
依頼しない場合でも情報収集は有益
「私は弁護士を雇っていないから不利」というわけではありません。実は、離婚協議の多くは双方が代理人なしで進めるケースも多いのです。大切なのは、法的知識と冷静さを持つことです。
自治体の無料法律相談、法テラス、女性センターなど、公的な支援機関を通じて、必要最低限の知識を持って臨むことが結果的に有利な選択を後押しします。
まとめ:弁護士の対応が遅いと感じたら冷静に確認と対話を
弁護士が対応を引き延ばしているように見えても、必ずしも悪意があるとは限りません。一方で、対応に不誠実さを感じたら、正当な手段で問いただすことも大切です。
大切なのは感情的にならず、法的に整然と対応する姿勢です。離婚という人生の大きな分岐点だからこそ、情報と対話によって自分の立場を守りましょう。