SNSで企業対応のスクショを公開しても大丈夫?名誉毀損・営業妨害との境界線を法律的に解説

現代では企業と消費者のトラブルがSNSで拡散されることも珍しくなく、企業対応のスクリーンショットが話題になることもあります。しかし、その投稿が思わぬトラブルや法的リスクにつながるケースも存在します。今回は、企業対応のスクショをSNSに公開することのリスクと名誉毀損や営業妨害に該当する可能性について解説します。

「事実」であっても名誉毀損は成立するのか?

まず前提として、日本の法律では「事実であっても名誉毀損は成立する」という考え方が存在します。民法や刑法においては「公共の利害に関する事項」「公益目的」「真実性の証明ができる」などの条件がそろえば違法性が阻却される可能性もありますが、これらが欠けると成立してしまうことがあります。

たとえば、「企業のメール対応が不適切だった」という内容であっても、それが企業の社会的評価を下げるようなものであれば名誉毀損として訴えられる可能性は十分にあります。

営業妨害の法的リスクについて

企業から「営業妨害だ」と主張される場合、根拠としては不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)が考えられます。特にSNSでの拡散力が強い場合、企業の売上や評判への影響が大きくなると判断されることも。

このとき、企業が訴訟に踏み切るかどうかは、実際の被害額や拡散の影響度により異なりますが、訴える構えを見せることで投稿者に対するプレッシャーを与える「警告」としての意味合いもあります。

SNS投稿で気をつけるべきポイント

  • 事実であっても投稿が企業の名誉を傷つける可能性がある
  • スクショの公開は「個人情報保護」の観点でも注意が必要
  • 表現の自由の範囲を超えた「攻撃的」な投稿はリスクが高い

例えば、顧客対応の文面を加工せずに載せたとしても、相手の名前やメールアドレスなどが見えている場合、個人情報の取り扱いにも問題がある可能性が出てきます。

実例:過去の類似トラブルから学ぶ

過去には、ある消費者がECサイトとのトラブルをX(旧Twitter)に投稿し、それが数万リツイートされたことで店舗側が「業務妨害で損害賠償を請求する」と通告した事例がありました。このケースでは裁判までは至らなかったものの、投稿者は謝罪と削除を余儀なくされました。

一方で、メディアに取り上げられ社会問題化した事例では、公益性が認められ違法性が否定されたケースもありました。つまり、状況や内容、拡散の度合いによって結果は変わるのです。

企業対応に不満があるときの建設的な手段

企業対応に疑問や怒りがある場合、感情的にSNSで拡散する前に、消費者庁や国民生活センターへの相談など、公的機関を通した対応を検討しましょう。

また、メディアやジャーナリストへの情報提供という方法も、公益性が担保されるケースとして利用されることがあります。

まとめ:SNS投稿は慎重に。表現の自由には責任が伴う

企業対応の不満をSNSで発信する際には、法的リスクと倫理的な配慮を忘れてはなりません。「事実だから問題ない」と考えるのは危険であり、その表現が相手に損害を与える可能性があるならば、適切な手段を選ぶべきです。

冷静な判断と正しい手続きこそが、問題解決への近道です。

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