交通事故の際に加害者が現場から離れてしまったものの、その後に戻ってきた場合、それは法律上「ひき逃げ」になるのかどうか、疑問に思う方も少なくありません。この記事では、事故後の対応として「逃走」とみなされる行為や、その判断基準、法的な扱いについて解説します。
交通事故における「ひき逃げ」の定義とは
日本の道路交通法では、事故を起こした運転者が被害者の救護や事故報告義務を怠り、その場から立ち去ることを「ひき逃げ(救護義務違反)」と定義しています。これは、たとえ故意でなくとも、その場から離れた時点で成立する可能性があります。
重要なのは「その場で救護と報告をしなかった」という事実であり、後から戻ってきても、逃げた事実が帳消しになるわけではないのです。
加害者が後から戻った場合の法的扱い
事故後、数十分~数時間後に現場へ戻ってきた場合でも、警察や第三者が「一度逃走した」と判断すれば、ひき逃げに問われる可能性はあります。特に、加害者が意図的に現場から離れたことが明白であれば、刑事処分や免許停止などの行政処分の対象となることもあります。
ただし、本人が「事故に気づかなかった」と主張し、かつ客観的証拠や証言などが乏しい場合、ひき逃げと認定されない可能性もあり、最終的には警察の捜査と検察の判断によります。
事故後すぐに通報したことの重要性
被害者側がすぐに110番通報をして警察を呼んでいる場合、事故発生直後の状況が記録に残るため、後の処理において有利に働くことが多いです。目撃者の証言や防犯カメラの映像などがあると、加害者の逃走の有無や悪質性も立証しやすくなります。
警察の現場検証時点で相手が不在であり、後から戻った場合は「一時逃走」として記録され、ひき逃げとされる可能性が高くなります。
「記憶にない」という主張の扱い
加害者が「事故を起こした記憶がない」と述べたとしても、車体に明らかな接触痕がある場合など、物的証拠があるとその主張は信憑性を欠くと判断されがちです。飲酒や体調不良などが原因であった場合には、別の罪に問われる可能性もあります。
過去の判例でも、「気づかなかった」という主張は、目撃証言や物証と矛盾する場合には退けられたケースが多く見られます。
逃走ではないと判断されるケースもある
一方で、事故を起こしてすぐに近くの安全な場所に車を停めて戻ってきたような場合や、事故の重大性に気づかず数分後に戻った場合などは、「逃走」とはみなされないこともあります。
警察への通報が自発的であったり、被害者が無傷であることが確認されていたなど、状況によっては情状酌量されることもあります。
まとめ:一度離れた事実があるかがカギ
事故後に現場から一時的でも離れた場合、たとえ後から戻ったとしても「ひき逃げ」と判断されるリスクはあります。特に、警察の到着前に立ち去ったかどうかが重要な判断材料となります。
被害者としては、速やかに警察に通報し、事故の状況を詳しく伝えることが大切です。目撃者や映像などがある場合は、それらも証拠として提出しましょう。事故後の対応によっては、民事的な賠償責任の立証にも関わってくるため、慎重な行動が求められます。