ネズミ捕りはなぜ隠れている?警察の取り締まりが見えにくい理由とその効果

スピード違反を取り締まる「ネズミ捕り」。なぜ警察はパトカーを見える場所に置かず、わざわざ隠れて取り締まるのでしょうか?この記事では、その背景にある法律的・心理的・効果的な理由をわかりやすく解説します。

そもそも「ネズミ捕り」とは?

ネズミ捕りとは、警察による速度超過取り締まりの俗称で、主にレーダーや光電管、可搬式オービスなどを用いて違反者を検挙する手法です。通常、取り締まり場所は事前に決定され、標識などで注意を促している場合もありますが、警察官やパトカーは見えにくい場所に配置されることが多いです。

この隠密性が「なぜ隠れるの?」「事故を減らすのが目的なら堂々とすべきでは?」という疑問を生み出しています。

ネズミ捕りが隠れて行われる主な理由

1. 実際の違反者を検挙するため
目に見える位置にパトカーがいれば、当然ながらドライバーは減速します。しかしこれは「その場限りの減速」に過ぎず、根本的な速度超過の抑止にはつながりません。

2. 抑止効果と検挙の両立
一見矛盾するようですが、ネズミ捕りは「違反の検挙」と「違反をさせない空気作り」の両方を目的としています。検挙されたドライバーが周囲に話すことで、“あの道は取り締まりがある”という情報が広がり、結果的に抑止効果が高まります。

目立つ取り締まりでは不十分な理由

パトカーを常に見える場所に置いておけば、速度違反は確かに一時的に減るかもしれません。しかし、その方法では違反の“習慣化”を改めるには至りません。

実際、ある道路で「定期的に見せパトカーを置く施策」が取られた結果、設置されていない日には速度違反が激増するというデータもあります。

現場の警察官が語る運用の現実

現職の警察官によれば、「事故多発地点や通学路など、生命に直結する場所ではあえて見える位置での取り締まりを行うこともある」とのこと。一方、日常的な速度超過の検挙には“抜き打ち感”が必要であり、隠れたネズミ捕りも重要な役割を担っているとの証言があります。

また、全ての取り締まりが「点数稼ぎ」や「ノルマ目的」で行われているわけではなく、市民からの通報やデータ分析に基づく計画的な実施がほとんどです。

ネズミ捕りの実例:効果と市民の反応

東京都内の幹線道路で、2ヶ月間に5回ネズミ捕りを実施した結果、初回には30件を超える検挙がありましたが、5回目にはほぼゼロに。これは「うわさが広まり、地元住民全体の速度意識が変わった」ことを意味します。

一方で「隠れて取り締まるのは卑怯」と感じる市民もいるため、警察側も標識設置や事前告知などを一定のバランスで行っているのが現実です。

まとめ:隠れて取り締まるのには理由がある

・ネズミ捕りが隠れて行われるのは、単なる取り締まりではなく継続的な抑止を狙っているから。
・パトカーが見える場所にあると、一時的な減速に終わる可能性が高く、本質的な速度意識の改革にはつながりにくい。
・市民の安全と抑止効果の両立のために、見せる警察と隠れる警察の両面が必要とされています。

「なぜ隠れるのか?」という疑問には、事故を減らすための“見えない努力”があると知ることで、その答えが少し明確になるかもしれません。

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