交通事故後に接骨院へ通院する方にとって、治療費の扱いや説明の有無は非常に重要です。保険適用と思っていた費用に保険外診療が含まれていた場合、後からトラブルになることも少なくありません。今回は、実際に起きたケースをもとに、保険外請求の注意点と今後の対応策を解説します。
交通事故による通院でよくあるトラブルとは?
交通事故による自損事故では健康保険を使って通院できますが、接骨院によっては「自費診療」や「自由診療」と称して保険外の施術が行われることがあります。
特に問題となるのが、施術前にその説明がないまま施術が行われ、会計時に初めて保険外料金を請求されるケースです。このような場合、患者側に明確な同意がない限り不当な請求とされる可能性があります。
保険適用と保険外診療の違いを明確に理解しよう
接骨院での治療には、健康保険が適用される「保険診療」と、自由に料金が設定される「保険外診療」があります。保険診療は、痛みやケガが特定の部位に限定されていて、施術内容も一定の範囲内に限られます。
一方で、保険外診療は美容目的や全身マッサージなど、医療保険の枠外で行われる施術です。この区別は料金にも直結し、患者の同意がない場合にはトラブルの元になります。
説明なしの保険外請求は問題あり
施術前に保険外の内容や料金について説明がなかった場合、消費者契約法や民法における「契約の瑕疵(かし)」にあたる可能性があります。
特に「説明の省略」や「患者からの同意がない」まま保険外施術を行った場合、法的には返金請求が認められる可能性もあります。
今後同じトラブルを避けるための対策
- 初診時に施術内容・費用の内訳を必ず確認する
- 保険診療のみを希望する場合は、明確に「保険適用分だけでお願いします」と伝える
- 施術後、領収書の内容と説明に食い違いがないかその場で確認する
- 説明がないまま保険外費用が発生した場合は、録音やメモなど記録を残しておく
また、不明点があればその場で質問することが大切です。トラブルを未然に防ぐ姿勢が、安心した通院に繋がります。
実際に保険外請求をされた場合の対応策
万が一、不当な保険外請求があったと感じた場合、まずは施術を受けた接骨院に説明を求めましょう。そのうえで、納得がいかない場合は以下のような窓口に相談可能です。
- 最寄りの消費生活センター(消費者庁)
- 都道府県の柔道整復師会
- 自賠責保険の保険会社(交通事故の場合)
これらの機関では中立的な立場からアドバイスを受けられるほか、返金交渉のサポートを受けられることもあります。
まとめ:正しい知識で安心の治療を
交通事故後の接骨院通いでは、保険の適用範囲や施術内容の説明が極めて重要です。「説明を受けていない」「同意していない」場合の保険外請求は、患者の権利を侵害している可能性があります。
今後は保険診療の範囲内での施術を希望する旨を明確に伝えるとともに、毎回の施術内容や領収書を確認する習慣を持ちましょう。正しい知識と冷静な対応が、トラブルから身を守る第一歩です。