高齢化や家族の多様化により、内縁関係をめぐるトラブルが増えています。特に、親の内縁の配偶者と遺産や介護、住居の問題で意見が合わず、精神的な不安定さも絡むと、話し合いだけでは解決が難しい場合も少なくありません。この記事では、親の内縁関係者との話し合いが難航した際にとるべき具体的なステップを紹介します。
内縁関係とは何か?法律的な位置づけ
内縁とは、婚姻届を提出していないが、実質的に夫婦の共同生活を営んでいる状態を指します。法律的には「準婚関係」とも言われ、一定の場面では法的保護を受けることがあります。
たとえば内縁の配偶者には、住居に居住する権利、財産分与の一部主張、医療における立会いなどの権利が認められるケースもありますが、相続権は基本的に認められません。
精神疾患を抱える相手との話し合いの難しさ
精神疾患があるとされる内縁者と話し合いをする際には、精神的な安定を重視する必要があります。無理に交渉を進めると、状況が悪化することもあるため、対応には十分な配慮が必要です。
具体的には、一度に多くを伝えず、短く明確な話し方を意識し、書面や第三者を交えたやり取りが有効です。また、公的な支援(福祉やケアマネジャーなど)を巻き込むことも検討しましょう。
弁護士を立てるべき状況とは
話し合いが行き詰まり、感情的な対立が深刻化した場合や、財産や遺産に関するトラブルが発生している場合には、早期に弁護士へ相談することが望ましいです。
たとえば以下のようなケースでは法的支援が有効です。
- 内縁者が財産の占有を主張している
- 介護や生活支援を盾に経済的請求をしてくる
- 実家を出ていかない/相続を主張する
このようなケースでは、弁護士を通じて適切な交渉や調停を行うことで、話がスムーズに進むことがあります。
家族の証拠や経緯を文書化する重要性
トラブルがこじれる前に、関係性や話し合いの経緯、介護や支援の実績を記録しておくことが重要です。以下のようなものを準備しておくと、法的手続きの際に有利になります。
- 親と内縁者の同居開始時期や生活実態の記録
- 通帳・光熱費など生活費の出資関係
- 介護・通院などの支援内容を示す日記や写真
書面や録音、LINEなどのやりとりも、証拠として活用できます。
トラブル解決に向けた支援制度の活用
精神疾患を抱える内縁者とのやりとりには、法テラスや家庭裁判所の調停制度を利用するのも一つの手段です。法テラスでは、無料相談や経済状況に応じた弁護士費用の援助も行っています。
また、家庭裁判所では「遺産分割調停」や「共有物分割請求調停」などが可能で、話し合いの場を中立的に持つことができます。
まとめ:冷静かつ法的に正当な対応を
親の内縁の配偶者との話し合いは、感情や過去の経緯が絡みやすく、特に精神的に不安定な相手との交渉は困難を極めます。無理に話を進めるのではなく、早めに弁護士を立て、法的に正当な方法で解決を図るのが理想です。
証拠の確保と記録を丁寧に行い、支援制度や法律専門家を活用することで、冷静にかつ公平に問題に向き合うことができます。