相続登記の義務化により、土地や建物の名義変更に加えて、故人の預金口座の解約も早期に進める必要性が高まっています。しかし、仕事の都合で平日に動けない人にとって、銀行対応は大きな負担です。この記事では、相続口座の解約を誰に依頼できるか、司法書士が対応可能か、また他にどんな専門家に相談できるのかを詳しく解説します。
相続登記と預金解約は別手続き
相続登記と故人名義の預金口座解約は、手続きの性質が異なります。相続登記は法務局を通じて行う不動産の名義変更手続きですが、口座解約は各金融機関に個別に申請が必要です。提出書類も異なるため、登記を依頼した司法書士に銀行解約まで対応してもらえるかどうかは確認が必要です。
司法書士の業務範囲は主に登記業務や相続書類の作成であり、金融機関との直接交渉や預金引出は原則としてできませんが、「財産管理業務」や「遺産整理業務」として委任契約を結ぶことで一部対応してくれるケースもあります。
司法書士に預金口座の解約は依頼できる?
結論から言えば、依頼可能な場合もあります。ただし、銀行によっては司法書士では対応不可としている場合や、厳格な本人確認を求められる場合もあるため、事前に対象の銀行に確認する必要があります。
実際に司法書士が代理人として口座解約を行う際には、以下のような追加書類が求められることがあります。
- 委任状(相続人全員分)
- 司法書士の職務証明書
- 相続関係を証明する戸籍謄本・遺産分割協議書
このように、一定の条件下では司法書士でも可能ですが、費用や対応範囲について明確にしてから契約することが重要です。
他に依頼できる専門家・サービスは?
預金解約に関しては、司法書士以外にも以下の専門家に依頼が可能です。
- 行政書士:書類作成や一部代行業務に対応。費用は比較的安価。
- 弁護士:法的トラブルを伴う相続の場合に最適。ただし費用は高め。
- 信託銀行や遺産整理業者:包括的な遺産整理サービスを提供しており、口座解約も含めて代行可能。報酬は遺産総額の数%が一般的。
このように、自分の状況に応じた専門家選びがポイントとなります。
郵送や委任状での対応は可能?
近年、多くの銀行では来店不要の「郵送手続き」や「代理人手続き」にも対応しています。たとえば、ゆうちょ銀行では遺産整理業務を第三者に委任し、本人が来店せずとも手続きを進められる仕組みがあります。
また、一部の地方銀行や信用金庫でも、相談すれば郵送・代理人方式の選択肢を案内してくれる場合があります。実際に解約を希望する銀行のWebサイトやコールセンターで確認してみるとよいでしょう。
口座解約は早めの行動がカギ
相続人が複数いたり、解約先が他県だったりする場合には、解約に数ヶ月〜1年以上かかることも珍しくありません。しかも、10年を超えると「休眠口座」として扱われ、通常の手続きができなくなる可能性もあります。
できるだけ早めに着手し、専門家に相談して負担を軽減することを強くおすすめします。
まとめ:口座解約も専門家と分担すれば解決可能
仕事の都合で時間が取れない場合でも、司法書士や他の専門家と連携すれば、相続口座の解約手続きは進められます。事前に費用と業務範囲を明確にしたうえで、自分に合った方法で対応するのがベストです。休みにくい状況であっても、諦めずに代行・郵送などの選択肢を活用して一歩ずつ進めていきましょう。