日本国内における暴力団の存在は、社会的にも法的にも大きな関心を集めています。「暴力団は違法なのか？」という疑問に対し、単純な「はい・いいえ」では答えられない複雑な側面があります。この記事では、暴力団の法的な立ち位置や関係する法律、社会の対応についてわかりやすく解説します。
暴力団は違法組織なのか？その定義と法的位置づけ
暴力団は、日本の法律上「反社会的勢力」と位置づけられており、暴力団対策法（正式名称：暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律）に基づき規制されています。
ただし、暴力団そのものの存在が「違法」とされているわけではなく、その構成員が行う違法行為（恐喝、薬物売買、資金洗浄など）が刑法により処罰されます。
暴力団対策法とは？組織的な活動への規制
1992年に施行された暴力団対策法では、指定暴力団に対して特定の行為を禁止し、行政による排除措置を可能としています。
たとえば、みかじめ料の要求や威圧的な言動、不当な取引などが対象となり、これらの行為を繰り返した場合には、警察からの中止命令や立ち入り検査の対象になります。
「存在」は合法だが「活動」は厳しく制限されている
つまり、暴力団という団体自体は法的には存在し得るものの、違法な活動が明らかになれば厳しい取り締まり対象となります。
警察庁では全国に約20団体を指定暴力団として登録し、地域ごとに組織の実態把握と取締りを行っています。
民間社会による暴力団排除の取り組み
法制度だけでなく、民間企業や自治体も暴力団排除に積極的に取り組んでいます。契約書には「暴力団排除条項」を盛り込み、関係者が反社会的勢力に該当する場合は契約解除できる仕組みも整備されています。
また、銀行や不動産取引、就職活動でも、暴力団関係者は取引・契約を断られるケースが一般的です。
暴力団に関与した場合の法的・社会的リスク
暴力団に加入したり関与した場合、刑事罰だけでなく、家族や勤務先にも影響が及ぶことがあります。企業の信用を損ねたり、周囲の人間関係に悪影響を与えることから、社会的孤立につながることも。
また、暴力団から脱退する際も、報復や金銭的トラブルが発生するリスクが高く、支援団体の力を借りる必要があります。
まとめ：暴力団は「違法な存在」ではなく「違法な活動」が規制対象
暴力団という存在自体は日本の法制度において禁止されているわけではありません。しかし、その活動内容の多くは違法行為であり、暴力団対策法や刑法により厳しく取り締まられています。
また、社会的にも暴力団排除の動きが強まっており、関与すれば法的にも社会的にも大きな不利益を被る可能性があります。暴力団との関わりは一切持たないことが、安全かつ健全な生活を送るための基本です。