クレジットや後払いサービスの利用が広がる中、支払い遅延や滞納によって法的対応を受ける方も少なくありません。特に障害年金受給者の方にとって、「年金が差し押さえられるのでは?」という不安は切実です。この記事では、障害年金の差し押さえに関する法律的な保護や、支払い交渉の注意点について詳しく解説します。
障害年金の差し押さえは原則として禁止されている
障害年金は生活を支えるための社会保障給付として支給されるものであり、「差し押さえ禁止財産」として法律で保護されています。民事執行法第152条では、年金や生活保護費などの公的給付は、原則として差し押さえができないと定められています。
つまり、障害年金の支給元である日本年金機構から直接振り込まれる年金に関しては、債権者が差し押さえることはできません。
ただし銀行口座に振り込まれた後は注意が必要
差し押さえ禁止の対象となるのは、原則として「支給前の障害年金」です。口座に振り込まれた後は「普通預金」として扱われ、差し押さえ対象となる可能性があります。
しかし実務では、障害年金と確認できる振込が対象であれば、金融機関側や裁判所の判断で差し押さえが解除されることもあります。とはいえ、なるべく年金を受け取ったら早めに必要な生活費に充てるなど、口座に長期間残さない工夫が重要です。
弁護士や債権者と誠実に交渉を
メルペイなどの債務が法律事務所に移管された場合でも、障害年金しか収入がない旨をしっかり伝え、誠実に分割支払いなどの交渉を行うことが大切です。
支払い能力に応じた無理のない返済計画を提示することで、和解や債権放棄に応じてもらえるケースもあります。書面での合意や取り決め内容は必ず保存しておきましょう。
万一のときは法テラスや司法書士にも相談を
経済的な事情で弁護士費用の支払いが難しい場合は、法テラス(日本司法支援センター)など、無料法律相談を活用することが可能です。
また、司法書士でも簡易裁判所案件(140万円以下)であれば債務整理の相談ができます。事前に収入状況や障害年金の支給証明などを用意しておくとスムーズです。
障害年金受給者が安心して生活を守るために
滞納による法律事務所からの通知や請求はプレッシャーになりますが、障害年金がすぐに差し押さえられるわけではありません。焦らず、法的な知識を持った上で冷静に対応することが大切です。
特に障害年金だけが収入源である場合は、支払い交渉・証明書提出・相談機関の活用を通じて、生活の安定を最優先に考えるべきです。
まとめ:障害年金の差し押さえは基本的に不可、でも口座管理には注意
障害年金は法律により保護されており、支給元から直接支払われる部分については差し押さえが原則できません。ただし、口座に入金後の管理には十分な注意が必要です。
債権者との交渉は、収入や生活状況を伝えた上で、無理のない返済計画を提示しましょう。困ったときは専門家や公的機関に相談し、安心して生活を維持するための選択肢を検討してみてください。