マンションの来客用駐車場の正しい使い方と区分所有法第6条の考え方

マンションの共用施設として設けられている「来客用駐車場」は、訪問者の利便性を目的として設けられたものであり、住民が私的に利用することは原則として望ましくありません。特に、会社の車やセカンドカーを常態的に停める行為は、トラブルの原因となることがあります。今回はこのような使い方が「共同の利益に反する行為」に該当するのか、法的観点から詳しく解説します。

来客用駐車場の目的と一般的な利用ルール

多くのマンションでは、来客用駐車場は一時的な訪問者のために設置されています。管理規約や使用細則に明確に「住民による常態的な利用は不可」と規定されているケースが一般的です。

例として、管理規約に「来客用駐車場は住民本人が使用してはならない」旨が明記されていれば、住民による使用は明確な違反とみなされる可能性があります。

区分所有法第6条「共同の利益に反する行為」とは

区分所有法第6条では、「各区分所有者は、建物の保存および管理に関し、他の区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」とされています。

この「共同の利益」とは、共有部分(駐車場など)の公平かつ合理的な使用を含み、特定の区分所有者が独占的に使用することは、他の住民の利用機会を不当に制限することになります。

実際のトラブル事例と対応策

あるマンションでは、住民が来客用駐車場に日常的に業務用車両を停めていたことで、他の住民から苦情が殺到しました。管理組合が再三の注意を促しても改善されず、最終的に弁護士を通じて警告書を送付する事態に発展しました。

このような場合、まずは管理組合に正式に申し入れを行い、管理規約や使用細則の再確認を依頼することが重要です。必要に応じて、臨時総会で明確なルール作りを行うことも検討されます。

会社の車を駐車する行為は問題となるか

仮にその車が個人所有ではなく会社所有である場合、業務利用で頻繁に駐車することが明らかならば、駐車場の「目的外使用」として判断されやすくなります。

特に、長時間の駐車や毎日の使用は、来客用という本来の趣旨を逸脱しており、他の区分所有者の利用を妨げる「共同の利益に反する行為」に該当する可能性が高まります。

ルール違反にどう対応すべきか

  • 管理組合に報告・相談:まずは事実関係を整理し、写真や日時の記録を添えて報告しましょう。
  • 管理規約の確認:利用目的や禁止事項が記載されているか確認し、根拠を明確にします。
  • 弁護士への相談:改善されない場合は、弁護士に相談して内容証明や法的措置を検討します。

まとめ:公平な利用を守るために

来客用駐車場は、すべての住民にとって公平に利用されるべき共有資産です。私的な使用が常態化している場合、管理組合との連携と法的知識に基づいた対処が必要です。区分所有法第6条は、そのような不正使用を正すための強力な根拠となります。

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