遺産分割後に判明した親族の使途不明金問題にどう対応するか?法的対処と実務のポイント

親の死後に行われる遺産分割は、家族間の信頼関係が試される場面でもあります。特に分割後に故人の口座から高額な出金が判明した場合、その対応は非常にデリケートかつ法的な知識を要する問題となります。この記事では、使途不明金が発覚したときに考えるべきステップと、法的手続きの進め方について具体的に解説します。

遺産分割後に発覚する「使途不明金」とは

遺産分割協議が終わった後でも、故人の口座履歴などを調査する中で不自然な出金が発見されることがあります。たとえば、「月に50万円ずつ引き出されていたが、明細も領収書もない」というケースです。

このような使途不明金は、相続人間での信頼問題だけでなく、法的な財産返還請求の対象になる可能性もあります。

まずは事実関係を整理しよう

重要なのは、感情的に対立する前に「いつ」「誰が」「いくら」「どの口座から」出金したのか、客観的な記録を元に整理することです。

たとえば銀行の通帳、取引明細、介護費や生活費などの支出実態と照合することで、不正利用なのか適正支出なのかが見えてくる場合もあります。

兄弟が介護をしていた場合の支出はどう扱う?

介護者が親の生活費や医療費を立て替えたり、家計を管理していた場合、その支出の一部が親の口座から出ていたとしても「正当な支出」であることもあります。

ただし、記録や領収書がない支出は「相続人全体の利益になったかどうか」の判断が難しく、不当利得と見なされる可能性もあります。

弁護士が必要な場面とは?

兄弟間での話し合いが平行線になったり、「弁護士を通してくれ」と言われた段階であれば、こちら側も法的な代理人を立てるのが得策です。

弁護士は遺産分割協議書や出金履歴をもとに、不当利得返還請求や不法行為に基づく損害賠償を検討することができます。また、家庭裁判所での調停や訴訟に発展する場合にも備えられます。

解決のために実際にできる行動ステップ

  • 1. 出金のあった口座の通帳・明細をすべて取得
  • 2. 出金の目的についての説明を兄弟に依頼(LINEや書面で記録を残す)
  • 3. 弁護士の無料相談を利用して、初期見解をもらう
  • 4. 必要に応じて家庭裁判所への調停申立てを検討

家族間で解決したい気持ちは理解できますが、金額が大きい場合は専門家を介して冷静に事実を整理することが、結果的に関係修復にもつながります。

まとめ:使途不明金は泣き寝入りせず、証拠と専門家で対応を

遺産分割後に発覚する兄弟の使途不明金問題は、非常にセンシティブですが決して珍しいことではありません。まずは証拠を揃え、感情的な対立を避けつつ専門家の力を借りることで、公平な解決が可能になります。

家族の絆を損なわずに対処するには、法的なルールと第三者の視点が必要不可欠です。

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