初めての交通事故後、接骨院や整形外科に通いながら「通院慰謝料はどうやって決まるの?」と疑問に思う方は少なくありません。ネット上には様々な情報があり混乱しやすいですが、この記事では実際の相場・計算方法・保険会社とのやり取りの注意点を、3ヶ月通院の実例をもとにわかりやすく解説します。
交通事故における「慰謝料」とは?
交通事故の慰謝料とは、精神的苦痛に対する賠償として支払われる金銭です。治療費や休業補償とは別に支給され、主に次のような種類があります。
- 入通院慰謝料(通院・入院に対して)
- 後遺障害慰謝料(等級が認定された場合)
- 死亡慰謝料(死亡事故の場合)
ここでは「通院慰謝料(入通院慰謝料)」に絞って説明します。
通院慰謝料の計算基準は主に3つある
慰謝料の金額は、請求方法や立場によって使われる基準が異なります。以下の3つが主な算定基準です。
- 自賠責基準(最低限の基準・保険会社が採用)
- 任意保険基準(保険会社ごとの独自基準)
- 弁護士基準(裁判基準)(最も高額になる可能性あり)
自賠責基準では、1日あたり4,300円(2020年4月以降)と定められています。これが「1日4,300円」と言われる理由です。
通院日数×4,300円でそのまま支払われるの?
自賠責基準では、「実通院日数×2」または「治療期間(日数)」の少ない方に4,300円を掛けた額が慰謝料となります。
たとえば3ヶ月間(約90日)で80日通院した場合。
- 実通院日数×2=160日
- 治療期間=90日
この場合は少ない方の「90日」が採用され、90日×4,300円=387,000円が自賠責基準での慰謝料となります。
弁護士基準で請求すればもっと増える可能性も
弁護士基準(裁判所基準)では、通院期間や頻度、傷害の程度をもとに、一括して慰謝料が算定されます。たとえば通院3ヶ月で、実通院日数が高頻度(80日程度)であれば、53万〜70万円程度の慰謝料が妥当とされることもあります。
この金額は保険会社に対して弁護士が交渉した場合に限られることが多いため、より高額な補償を希望するなら弁護士への相談を検討してもよいでしょう。
慰謝料を確実に受け取るためのポイント
・通院頻度を保つ(週1〜2回では慰謝料が減額されやすい)
・医師や柔道整復師に症状を正確に伝え、カルテに記録してもらう
・領収書・診断書・通院日報などを保管しておく
・保険会社とのやり取りは記録を残すか専門家を通す
「ほぼ毎日通っていたのに、慰謝料が少ない」というトラブルの多くは、実通院日数の記録が不足していることや、保険会社の提示額を鵜呑みにしたことが原因です。
まとめ:3ヶ月通院・80日通院なら約38万円が基準、交渉次第で増額も可能
交通事故の通院慰謝料は「実通院日数」「治療期間」「通院頻度」によって大きく異なります。自賠責基準では1日4,300円が上限で、今回のように3ヶ月で80日通院なら387,000円が目安です。
より高額な補償を求めたい場合や、保険会社の提示に納得できない場合は、交通事故に強い弁護士への相談が有効です。しっかり記録を残し、適切な対応で安心して治療に専念しましょう。