景品表示法におけるスタンプラリー景品の上限とは?駐車場代がある場合の取扱いも解説

集客施策のひとつとして人気のスタンプラリーイベント。しかし、その景品提供においては「景品表示法」による制限を受けるため、事前の理解が重要です。特に、参加者が一部施設で駐車場料金を支払う必要がある場合、景品の上限金額に影響があるのか疑問を持つ主催者も多いのではないでしょうか。この記事では、駐車場料金が発生するケースを含めたスタンプラリーの景品提供における注意点を解説します。

景品表示法の概要と適用対象

景品表示法は、不当な表示や過大な景品類の提供によって消費者が誤認・不利益を被ることを防ぐための法律です。スタンプラリーのような懸賞イベントはこの法律の規制対象であり、提供できる景品の金額上限は、取引の「対価」をもとに決定されます。

対価とは、参加者がイベントに参加するために支払う金額や、購入する商品・サービスの価格などを指します。その金額に応じて、景品の上限が「取引価額の2割」または「定額」で決まります。

懸賞の種類と景品の金額上限

スタンプラリーは一般的に「一般懸賞」に該当し、景品類の上限は以下の通り定められています。

  • 取引金額が5,000円未満:景品の最高額は2,000円
  • 取引金額が5,000円以上:景品の最高額は取引金額の2/10(20%)

つまり、参加者が何も購入せず無料で参加できるスタンプラリーの場合、景品の最高額は概ね700円程度が上限になります(無料提供=「無価」扱いのため「取引価額が100円」とみなされる事例に基づく)。

駐車場代がかかる場合の「対価」と景品上限

イベントの対象施設において駐車場料金が発生する場合、その料金が「参加に必要な費用=対価」として景品表示法上評価される可能性があります。

たとえば、ある施設に入るために500円の駐車料金を支払わなければならないとすると、主催者が「イベント参加にあたって来場者が実質的に500円を支払う」とみなされる場合、対価は500円となります。したがって、景品の最高額は100円(500円×0.2)となります。

ただし、施設によって「60分以内無料」や「買い物すれば無料」といった条件がある場合は、「駐車場代=強制的な対価」ではないとされる可能性が高く、この場合、対価をゼロまたは形式的な参加条件として扱うことが可能になります。

実際の判断ポイントと主催者側の注意点

景品表示法の解釈にはケースバイケースの判断が伴うため、駐車場代の有無が必ずしも「対価」に該当するとは限りません。以下の点に注意して判断しましょう。

  • イベント参加に必須の施設にのみ駐車料金が発生するか
  • イベント全体が無料か有料か(参加冊子の販売など)
  • 駐車料金の回避手段(60分無料・他店舗利用で割引等)の有無
  • 景品提供が懸賞形式かどうか(抽選制 or 全員プレゼント)

たとえば、「複数施設のうち1カ所のみ駐車場代がかかるが、他でスタンプが押せる」のであれば、対価性は薄まり、景品上限も実質的に「無料扱い」になる可能性があります。

安全策としての対応と相談先

スタンプラリーの企画段階で不安がある場合は、主催者として以下のような対応をとることが推奨されます。

  • 参加無料であることを明記し、駐車料金の発生箇所も説明する
  • 「景品の金額は〇〇円以内です」と明示して過大期待を避ける
  • 消費者庁や公正取引委員会に事前相談する

また、地元自治体が協賛するイベントであれば、地域の商工会や観光課などと協力してルールを整理すると安心です。

まとめ

スタンプラリーイベントでの景品提供は、景品表示法に基づいた上限を守ることが重要です。特に、駐車場料金が発生する場合は、その金額が「対価」と判断される可能性があり、景品額が制限されるケースも考えられます。

ただし、駐車料金が回避可能である場合や、参加者が自由に施設を選べる形式であれば、「無価」とみなされることもあります。個別ケースでの判断が求められるため、事前の確認と慎重な設計が成功の鍵となります。

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