財産分与の調停命令に相手が応じないときの対処法|支払い拒否・無視されたときの法的手続きとは

離婚時の財産分与は調停や裁判所の判断によって明確に取り決められることが多いですが、相手が支払いを怠るケースも少なくありません。「支払い命令が出ているのに入金されない」そんな悩みに直面したときに、どのような手段が取れるのかを法律的視点から解説します。

財産分与の調停で支払い命令が出た後の法的効力とは

家庭裁判所で調停が成立した場合、その調停調書には確定判決と同一の効力があります。つまり、調停内容に従わない場合には、強制執行の対象とすることが可能です。

支払期限を過ぎても相手が任意で支払わない場合、裁判所を通じて強制的に財産を差し押さえるなどの措置を講じることができます。これは法的な権利として認められており、相手の同意は不要です。

強制執行でできる差押えの種類

財産分与の支払いが滞った場合に行える強制執行には以下のような手段があります。

  • 給与の差押え:勤務先に通知し、相手の給与から一定額を直接差し押さえる
  • 銀行口座の差押え:相手名義の口座を特定して、預金残高から支払いを確保する
  • 不動産・車両などの動産執行:高額資産を差し押さえ、競売にかけることも可能

給与差押えでは、生活維持のため全額ではなく一部(原則として手取りの1/4程度)が上限となります。

強制執行の具体的な手続きと必要書類

強制執行を行うには、家庭裁判所の調停調書(または判決書)が必要です。これに基づき、執行文の付与申請を裁判所に提出し、債務名義としての効力を確保します。

次に、相手の財産情報(銀行口座、勤務先など)をもとに、地方裁判所に差押命令申立てを行います。申立てには収入印紙代、郵券代、場合によっては調査費用などが必要になります。

相手が「お金がない」と主張する場合でも対応は可能か

「お金がない」という主張があっても、法的義務の履行は免れません。勤務先からの給与があるならば差押えが可能ですし、貯金があればそこから回収も可能です。

問題は、相手が財産隠しや収入を装っているケースです。このような場合には、弁護士などの専門家と連携し、財産開示手続きや職場調査などを通じて実態を突き止めることが必要になります。

専門家に相談すべきタイミングとメリット

強制執行は法律に基づいた厳格な手続きが求められます。書類の不備や情報不足によって手続きが滞ることもあるため、弁護士に早期相談することが望ましいです。

特に、以下のような場合は専門家のサポートが有効です。

  • 相手の財産情報が不明
  • 調停書の効力に疑問がある
  • 複数の財産差押えを検討している

まとめ:調停後の未払いは泣き寝入りせず法的手段を

財産分与の支払いが調停で決まっているにも関わらず、支払われない場合でも、強制執行という法的手段で回収することが可能です。必要な準備を整えた上で、裁判所への申立てや専門家への相談を行い、正当な権利を確実に実現しましょう。

「お金がない」と言われても、そのまま放置せずに、まずは調停調書を確認し、法的に使える証拠を揃えることが大切です。泣き寝入りせず、冷静かつ着実に手続きを進めましょう。

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