交通事故後、誠意をもって弁済し和解したはずの相手から、徐々に個人的な連絡が増えてきた――。こんな経験に困惑している方も少なくありません。この記事では、事故後に被害者からLINE等を通じて過剰な接触があった場合の対応策を、法的・心理的観点から解説します。
■事故の弁済と個人的な関係は別問題
まず確認したいのは、事故の責任と個人的な交流の必要性は一切無関係という点です。法的に求められるのは「損害の補償」や「誠意ある謝罪」であり、プライベートでの交流や好意への応対は義務ではありません。
相手が好意的なやり取りを続けようとする場合でも、それに応じなかったからといって賠償責任が変わることはありません。
■LINE交換の要請は断っても問題ない
事故当事者同士での連絡手段としてLINEを交換することは一般的ではなく、本来は保険会社や弁護士などを通しての連絡が望ましいです。
相手がLINEでの連絡を求めた場合でも、拒否したからといって“心象が悪くなる=不利益を被る”ことはありません。
すでに交換してしまっている場合は、冷静かつ簡潔に対応するよう心がけましょう。
■個人的な誘いが不快・不安に感じるときの判断基準
「残業で疲れた」「祭りに行く?」などの世間話程度でも、回数や内容によっては精神的な負担や不適切な関係の強要につながる可能性があります。
特に、「飲みに行こう」など明確な私的誘いが繰り返される場合は、常識的なやり取りの範囲を逸脱していると判断できます。
そのようなケースでは、毅然とした態度で断ることが大切です。
■相手の逆上・報復が不安な場合の対応
「断ったことで逆上されないか」「弁済に影響が出ないか」と不安に感じる方もいますが、個人の感情と法的手続きは切り離して考えるべきです。
必要であればLINE上で次のように送ると良いでしょう。
「この件は保険会社または第三者を通して対応します。個人的な連絡は控えさせていただきます。」
その上で、相手の連絡が執拗に続く場合や恐怖を感じる場合には、警察への相談も選択肢となります。
■警察・第三者機関は頼れる存在
最寄りの警察署の生活安全課や、事故に関する相談窓口(交通事故相談所・法テラスなど)では、こうした事例についても親身に対応してくれます。
「これ以上連絡を取りたくない」「ストーカーまがいの行為に発展しそう」と感じた時点で、早めに相談することが、今後のトラブル回避につながります。
■まとめ:事故の補償と私的な交流は切り分けて行動しよう
- 事故の弁済は誠実に対応するが、個人的な付き合いに応じる義務はない
- LINE交換は断っても問題なし。既に交換した場合も毅然とした対応を
- 誘いや接触が不快な場合は明確に断り、記録を残す
- 必要なら警察や第三者へ相談。早めの対応が安全確保につながる
誠意を持った対応と、適切な距離感の確保。その両方が、事故後の人間関係を円滑に保つために重要です。