交通事故で「どちらが悪い?」と聞かれたときの本当の意味とは?過失割合の基本と誤解を解説

交通事故が起きた際によく耳にする「どちらが悪い?」という言葉。この一言に、事故の責任の重さや補償額のイメージがついて回ります。しかし、日常会話での「悪い」は、法律的な「過失割合」とは必ずしも一致しないことがあります。本記事では、交通事故の責任判断における「過失割合」の仕組みを解説しながら、「どちらが悪い?」という言い回しの意味について詳しく見ていきます。

「どちらが悪い?」は過失100%の話ではない

事故後によく交わされる「どっちが悪いの?」という会話は、感覚的には「どちらの過失が重いか?」を指していることが多く、必ずしも「どちらが100%悪いか?」という意味ではありません。

実際の交通事故では、過失が完全に100:0になるケースは非常に稀です。たとえ信号無視のような明確なルール違反があっても、相手の側に回避義務があるとされれば1〜2割程度の過失が認められることもあります。

過失割合とは?保険会社が使う具体的な数値

過失割合とは、事故の責任の程度を数値で表したもので、交通事故の損害賠償の金額に直接影響する重要な指標です。たとえば、過失が80:20であれば、被害者側が受け取る損害賠償額は被害総額の80%にとどまります。

この割合は、保険会社同士の交渉や判例に基づいて算定されます。代表的な判例集に「別冊判例タイムズ38号」があり、そこに多数の類型ごとの標準的な過失割合が記載されています。

「悪い側」とは50%以上の過失がある方?

日常的な感覚では、過失が50%を超えている側を「悪い」と表現することが多いです。しかし、法律上や保険実務では「より過失が重い方」であるという認識が主流です。つまり、60:40の事故であれば60%の側が「より悪い」とされるのが一般的です。

一方、50:50のように過失が同程度と判断されることもあります。これは、交差点内の出会い頭の事故などで多く見られる割合です。

事故状況による過失割合の具体例

以下のような例を見てみましょう。

  • 追突事故:基本的に追突した側が100%過失(被追突側は0%)
  • 交差点の出会い頭事故:信号の有無、優先道路かどうかで50:50〜70:30など
  • 右折 vs 直進:右折側が70%、直進側が30%が目安(状況により異なる)

これらのように、事故の形態や交通規則の遵守状況によって過失割合は細かく決まります

保険会社が判断する「悪い」とは?

保険会社はあくまで損害賠償額の算定を目的として過失割合を提示します。そのため、「どちらが悪いか」という表現は、感情的・倫理的な責任ではなく、経済的な賠償割合を表しているに過ぎません。

加えて、過失割合が確定するまでには当事者の証言、ドライブレコーダーの映像、警察の事故報告など複数の証拠を総合的に判断する必要があります。

まとめ:「どちらが悪い?」は法的過失とイコールではない

「どちらが悪い?」という表現は、日常的にはどちらにより大きな過失があるかという意味で使われることが多く、必ずしも100% vs 0%のような単純な責任の話ではありません。

実務では過失割合が金銭補償に直結するため、感覚的な表現に惑わされず、正確な事故状況と法的根拠に基づいた判断が重要です。事故後には必ず専門家や保険会社に相談し、納得のいく補償を受けられるようにしましょう。

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