近年、飲食店などで発生した迷惑行為がSNSで拡散され、大きな話題となるケースが増えています。中には現場に居合わせた第三者が動画を撮影し、インフルエンサーなどにリークして話題になることもあります。しかし、こうした行為には法的リスクが潜んでいることをご存知でしょうか?この記事では、第三者が撮影した迷惑行為の動画をインフルエンサーに渡して拡散する行為について、法律的観点から詳しく解説します。
迷惑行為の撮影は違法になるのか?
まず、公共の場や飲食店内などで迷惑行為を撮影すること自体は、原則として違法とは言えません。特にプライバシーの期待が低い空間であり、顔が明確に映っていなければ、肖像権の侵害にあたる可能性も低くなります。
ただし、対象人物が特定できるような映り方をしていた場合、本人が肖像権やプライバシーの侵害を主張する可能性があります。たとえ迷惑行為をしていたとしても、撮影そのものに対する違法性が問題となる可能性があるのです。
動画の提供・リークの法的リスク
撮影した動画をインフルエンサーやメディアに提供する場合、その動画が特定の個人や企業、店舗に対して不利益を与える内容であれば、名誉毀損や信用毀損に該当するおそれがあります。
たとえば、迷惑行為をした人物が明確に特定できる映像であれば、その人物が社会的信用を損ねたとして損害賠償を求めてくることもあり得ます。また、動画の内容や編集方法によっては、事実を誇張して伝えていると判断され、より法的責任が問われやすくなります。
店側への影響と風評被害の問題
店舗内で起きた迷惑行為を拡散することで、その店舗が「治安が悪い」「管理がずさん」といった印象を持たれる可能性もあります。この場合、店舗側は風評被害による営業妨害を主張することができます。
実際に、過去には風評被害を理由に店舗が拡散元を訴えた事例もあります。たとえ店舗が直接的に悪くなくても、撮影・投稿・拡散が原因で経済的損害が出た場合、民事訴訟につながることもあるのです。
インフルエンサー側の責任とは?
インフルエンサーが迷惑行為の動画を受け取り、自身のSNSなどで拡散した場合、その影響力の大きさから法的責任が重く問われる可能性があります。
拡散の意図が「公益のため」としても、その情報の正確性や発信の仕方に問題があれば、名誉毀損や営業妨害の責任が発生しうるのです。場合によっては、「共同不法行為」とみなされることもあります。
迷惑行為を見たときの適切な対応とは
迷惑行為を目撃した場合、まずは店舗スタッフに知らせることが最善の方法です。必要に応じて警察への通報も検討されるべきであり、個人の判断で動画を拡散することは避けた方が賢明です。
記録としての撮影は構いませんが、ネット上での拡散や第三者への提供には慎重な判断が求められます。証拠として必要な場合は、警察や店舗に直接渡す形が安全です。
まとめ:善意の行動が加害者になることも
迷惑行為を見過ごせず、何か行動したいという思いは理解できます。しかし、その過程で他者の権利を侵害したり、予期せぬ損害を与える可能性もあるため、法律的観点から慎重な行動が求められます。
正義感からの行動が法的リスクにつながることもあることを認識し、迷惑行為を見た際は冷静に、適切な機関へ通報する対応を心がけましょう。