駐車中に車が全損するほどの事故に遭った場合、保険で補償される時価額では新たな購入費用が足りず、理不尽さを感じる方も多いはずです。しかし、実際には足りない分を加害者や任意保険会社に請求できるケースもあります。本記事では、自車が全損した際の賠償範囲と実務的な対応方法をわかりやすく整理します。
保険での補償は“時価額”までが基本
車両が全損になった場合、保険では修理費用ではなく車の時価額相当の「買換費用」が支払われます。そのため、購入時の支払額や再購入時の相場との差額は自己負担になります:contentReference[oaicite:0]{index=0}。
結果、6年落ちで100万円の評価しか受けられず、150万円で買い直す場合、50万円の差額が発生するわけです。
被害者に過失があるとその割合で減額される
駐車場で静止中でも、過失割合(例:8:2)がつけば、保険支払い額に応じた自己負担分が発生します。これは民法に基づく『過失相殺』の仕組みによるものです:contentReference[oaicite:1]{index=1}。
仮に全損時価が80万円で被害者過失2割と評価されれば、自分の負担は16万円、支払額は64万円となります。
時価を上回る差額分は“請求可能”か?
差額分(例:50万円)は、任意保険の対物超過修理費用など補償によって回収できる可能性があります。ただし、加害者が任意保険に未加入の場合、自賠責では物損に対する補償は出ず、自費で支払う必要があります:contentReference[oaicite:2]{index=2}。
任意保険未加入の加害者に直接差額を請求することは法的に可能ですが、証明や交渉が複雑になり、回収できないリスクもあります。
直接請求は“恐喝”にはならないか?
差額分を正当な理由で請求する行為は、脅迫や恐喝には該当しません。合理的かつ法的根拠のある請求であれば、警察も対応を拒否しにくいものです。
ただし、感情的に強制力を示したり、不当な文言を使ったりすると、別問題となる可能性があります。
適切な対応手順と専門家の役割
- ① 示談前に修理工場による時価評価書を取得
- ② 任意保険の「対物全損補償」「超過修理費用補償」の確認
- ③ 加害者任意保険会社へ差額含む示談交渉
- ④ アドバイスが必要な場合は交通事故に詳しい弁護士へ相談
特に被害者に過失があるケースでは、交渉次第で補償額が変わるため、専門家の関与が有効です:contentReference[oaicite:3]{index=3}。
まとめ:差額請求は可能。冷静かつ準備を整えよう
駐車場での全損事故でも、保険が補填しきれない差額は、任意保険の補償範囲内で請求可能なケースがあります。加害者に請求しても不当ではありませんが、過失割合や証拠の整備が不可欠です。
最終的には、時価額評価書、補償内容、専門家の助言をもとに冷静に交渉を進めましょう。