歩行者と車両が接触したとき、すべて運転者が悪いのか?法律と実例から読み解く過失の判断基準

歩行者と車やバイクが接触事故を起こした場合、「運転者が必ず悪い」と思われがちですが、実際の交通事故では状況や証拠によって判断が大きく異なります。本記事では、歩行者との接触事故における法的責任や過失割合、具体的な判断基準について解説します。

交通事故における基本原則:車両側の注意義務

道路交通法では、車両やバイクは「歩行者保護義務」が課せられています。特に横断歩道や生活道路では、運転者側に高い注意義務が求められます。

たとえば、横断歩道での事故は原則として運転者側の過失が大きく評価されます。これはたとえ信号が青でも、歩行者が渡ろうとしていた場合は徐行や停止が求められるためです。

すべてのケースで「車両が悪い」とは限らない

ただし、歩行者にも「交通ルールを守る義務」があります。以下のような例では、歩行者側にも過失が認定されることがあります。

  • 信号無視や道路の斜め横断
  • 深夜に無灯火・黒い服装で車道を横断
  • スマートフォンを見ながらの不注意な横断

このようなケースでは、歩行者にも2~4割程度の過失が認定されることがあり、必ずしも運転者が100%悪いとはなりません。

実際の裁判事例から見る過失割合

過去の裁判例では、横断歩道外の横断で歩行者と車が接触した事故において、「歩行者4:運転者6」や「歩行者3:運転者7」といった判決が下されたケースもあります。

また、歩行者が酔って車道に飛び出した事故では、「歩行者5:運転者5」という過失割合が認定された例もあります。これは、双方に注意義務違反があるとされた結果です。

歩行者保護の観点は強いが、状況次第で責任は分かれる

警察や保険会社の判断においても、証言・ドライブレコーダー映像・現場状況などが重要な判断材料になります。つまり、実際の接触がどのように発生したかが非常に重要です。

たとえば、ドライブレコーダーに「歩行者の飛び出し」が明確に映っている場合は、運転者の責任が軽減される可能性があります。

事故後の対応:車側がすべきこと

●警察への通報は必須
いかなる接触でも、その場で通報しなかった場合、運転者側が不利になることがあります。

●ドライブレコーダーの記録を保存
過失割合の証明に有効です。事故後は上書きされないようデータを即座に保存しましょう。

●保険会社へ速やかに連絡
相手側の治療費や慰謝料などをカバーするためにも、早急な報告が重要です。

まとめ:原則は運転者側の責任が重いが、例外もある

歩行者と接触した場合、車両・バイク側に高い注意義務があることから、原則として運転者の責任は重く見られます。ただし、状況や証拠によっては歩行者にも過失が認められるケースがあるため、「直ちにすべて車が悪い」とは限りません。

事故を防ぐ最善の方法は、双方が交通ルールを守り、互いに注意を払うこと。ドライブレコーダーの活用や、交通状況に応じた運転判断が重要なカギとなります。

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