交通事故の被害に遭った際、適切な治療を受けるだけでなく、後遺障害の申請によって将来の生活保障を得ることも重要です。しかし、後遺障害等級認定の申請から結果が出るまでには、予想以上に時間がかかることもあります。この記事では、後遺障害認定の流れや認定までの期間について、実例を交えてわかりやすく解説します。
後遺障害申請の流れと必要な手続き
交通事故による負傷が一定期間経過しても改善しない場合、「症状固定」という判断がされ、そこから後遺障害等級認定の手続きに入ります。手続きは主に以下のような流れです。
- 症状固定の診断を医師に依頼
- 後遺障害診断書を作成してもらう
- 保険会社を通じて申請(事前認定)または自ら申請(被害者請求)
- 自賠責保険調査事務所で審査
「被害者請求」を選べば、保険会社に依存せず自ら資料を準備して提出できますが、専門的知識が必要です。
後遺障害等級が認定されるまでの平均期間
認定までにかかる期間はケースによって異なりますが、平均で1〜3ヶ月程度が一般的です。以下のような要因で期間が延びることもあります。
- 診断書の不備や追加資料の提出
- 医療記録の照合に時間がかかる
- 症状が微妙で判断に迷うケース(特にむち打ち症)
例えば、ある被害者が頚椎捻挫による痛みで週4回以上通院し、症状固定後に被害者請求を行ったところ、約2ヶ月半で14級9号の認定を受けたという実例があります。
頚椎捻挫・むち打ちでの後遺障害等級の目安
頚椎捻挫(むち打ち症)の場合、等級が認定されるかどうかは、「他覚所見があるか否か」に大きく依存します。
- 他覚所見あり(MRI等で異常が確認):12級13号の可能性あり
- 他覚所見なしだが継続的な症状:14級9号の認定可能性あり
後ろに首を反らす動きで強い痛みがあり、痛み止めがないと生活や仕事が困難な状態が継続している場合、14級認定の可能性が比較的高いと考えられます。
申請をスムーズに進めるためのポイント
後遺障害の認定を受けるには、以下の点を意識しておくとよいでしょう。
- 医師に自分の症状を正確かつ一貫して伝える
- 通院頻度を一定に保ち、治療実績を記録する
- 後遺障害診断書の内容をしっかり確認する
- 必要に応じて弁護士や行政書士など専門家に相談
症状固定の前後では、自賠責保険や任意保険とのやりとりが複雑化するため、専門家の関与で交渉がスムーズになるケースも少なくありません。
まとめ:焦らず計画的な申請で後遺障害の認定を目指す
交通事故による後遺障害の認定は、時間と労力がかかるものですが、正しく手続きを進めることで適正な補償を受けられる可能性が高まります。特に頚椎捻挫のように一見軽度に見える症状でも、日常生活や仕事に支障が出ていれば認定の対象となり得ます。
認定までの期間は通常1〜3ヶ月ですが、書類不備や追加調査などで延びる場合もありますので、計画的かつ丁寧な準備が大切です。