海外仕様の商品を日本で安く買える「並行輸入品」は人気ですが、「購入しただけで違法になるの?」と心配する声もあります。結論から言うと、個人が正規ルート外で並行輸入品を購入すること自体は原則として違法ではありません。しかし、いくつかの注意点を知らずに購入すると、トラブルや法的リスクにつながるケースもあります。
並行輸入とは何か?正規品との違い
並行輸入とは、正規代理店ルートではなく、海外の正規販売ルートから直接商品を輸入して販売する行為を指します。
例えば、アメリカで正規に販売されているブランド腕時計を第三者が仕入れ、日本で販売するという形です。偽物ではなく“本物”だが、ルートが正規代理店ではないという点が特徴です。
購入者が違法になるケースは?
通常の並行輸入品の購入では、購入者側が法に触れることは基本的にありません。
ただし、以下のような場合には注意が必要です。
- 偽ブランド品(商標権侵害)を知らずに購入した場合 → 故意でない限り刑事罰は少ないが、税関で差し止められるリスクあり
- 薬機法違反の医薬品・化粧品などを個人輸入で一定量以上購入した場合 → 個人使用目的を超えると違法
- 安全基準(PSE、PSC等)を満たさない電化製品 → 火災や事故の原因になってもメーカーは責任を負わず、購入者が損害を被る可能性
商標権との関係:並行輸入が許される理由
日本では、商標権法において「真正商品(=正規品)である限り、並行輸入を禁止しない」という原則が採用されています(消尽論)。
つまり、同一ブランドの商品が海外で正当に販売されていれば、その商標権は“消尽”しており、輸入しても違法ではないとされています。
ただし、日本国内で品質保証・修理サービスを行っている正規代理店とは保証範囲が異なるため、トラブル時の対応に差が出る点には注意が必要です。
リスクを抑えて並行輸入品を買うには?
並行輸入品を購入する際は、以下の点をチェックしましょう。
- 販売元が信頼できる業者か(レビューや法人情報を確認)
- 製品が日本の規格に適合しているか(PSEマーク・技適マークの有無)
- 返品・保証の条件(初期不良への対応があるか)
- 医薬品・化粧品の場合は、厚労省の輸入ガイドラインに基づくか
例えば、Amazon内の並行輸入品は購入者保護が適用される場合が多い一方、フリマアプリや個人取引ではトラブルリスクが高まります。
まとめ
並行輸入品を購入すること自体は、ほとんどの場合で違法ではありません。
・偽造品でないか
・個人使用の範囲を超えていないか
・法規制対象の商品でないか
などをチェックすれば、安心して購入できます。正規代理店の保証を受けられない代わりに価格を抑えられる並行輸入品、メリットとリスクを理解して賢く選びましょう。