防犯カメラの映像があっても犯人が逮捕されない理由とは?刑事捜査の現実と課題を解説

重大な事件が発生し、防犯カメラに明確な証拠が映っていたにも関わらず、容疑者が逮捕されない――そんな事例は時折報道や相談事例でも見られます。本記事では、映像証拠があるのに「なぜ捜査が進まないのか」「警察の対応が遅れる理由」について、刑事手続きの仕組みや課題をもとに解説します。

①証拠があっても逮捕に至らないことはある

防犯カメラの映像や負傷の事実が明らかでも、それだけで直ちに逮捕が成立するとは限りません。「証拠の評価」や「加害者の特定」が法的に認められる水準かどうかがポイントとなります。

たとえば映像に人物が写っていても、顔が不鮮明・ナンバープレートが読めないといった場合、本人確認ができないと捜査が進まないことがあります。

②現行犯逮捕が優先されるのはなぜか?

日本の刑事手続きでは、現行犯の場合は裁判所の令状なしに逮捕が可能です。そのため警察は即時に対応できます。

一方で、後日逮捕には裁判所の逮捕令状が必要となり、証拠の積み重ね・本人の特定・容疑の裏付けが揃わなければ逮捕請求できません。

③「防犯カメラ+怪我」だけでは不十分な場合も

被害者の証言や怪我の診断書、防犯カメラの映像は強力な証拠となりますが、それが加害者と断定できる内容かどうか、また「故意」や「共謀」の立証が必要なケースでは、さらに補足調査が求められます。

特に複数人で犯行に及んだ場合、誰が主導したのか・誰が暴行に直接関与したのかという部分が曖昧だと、立件が難航することがあります。

④捜査が進まないと感じたときの対応策

もし事件性があるにも関わらず捜査が進んでいないと感じた場合、次のような手段が考えられます。

  • 捜査を担当する警察署に進捗を定期的に問い合わせる
  • 都道府県警察の監察室や苦情受付窓口に相談
  • 警察庁の行政監察や第三者機関へ申立て
  • 刑事告訴の相談を弁護士に依頼

また、被害届ではなく「告訴状」を提出すれば、より法的拘束力を持った対応が期待できる場合があります。

⑤過去の類似事例に見る警察の対応傾向

報道や弁護士事務所の記録によれば、映像や怪我があっても「被疑者不詳」のまま書類送検のみで終わったケースや、証拠不十分で不起訴処分となる例も少なくありません

そのため、記録の保存(診断書・映像データ・会話メモ)をしっかり行い、第三者の視点を入れることが重要です。

まとめ:証拠がある=逮捕とは限らない現実

刑事事件では、証拠・証言・加害者の特定・法的要件が揃って初めて逮捕や起訴に繋がります。

証拠があっても「なぜ捜査が進まないのか」と感じた際は、弁護士や第三者機関と連携することで、被害者として正当な対応を求める道が開けることがあります。

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