遺産分割協議書は自分たちで作成できる?専門家に依頼すべきケースとは

相続の際に避けて通れない「遺産分割協議書」。相続人同士で話し合い、遺産の分け方を明記する重要な書類です。しかし、これを家族だけで作成してよいのか、専門家の関与が必要なのか、迷う方も少なくありません。この記事では、遺産分割協議書の基本と作成方法、専門家を活用すべきケースについてわかりやすく解説します。

遺産分割協議書とは何か

遺産分割協議書とは、複数の相続人が存在する場合に、誰がどの遺産を相続するかを明確に記した書面です。法的には相続人全員の合意が必要であり、内容が明確であれば形式は自由とされています。

例えば「長男が自宅を相続し、次男が預貯金を相続する」といった取り決めを書面化し、全員が署名押印することで効力が生まれます。相続登記や預貯金の解約など、公的な手続きに使われることも多くあります。

家族だけでの作成は可能か?

実は、遺産分割協議書は相続人だけで作成することが可能です。専門家に依頼しなくても、必要な情報を正確に記し、署名・押印が揃っていれば有効です。

ただし、誤字脱字や曖昧な表現、印鑑の不一致などがあると、後の手続きで不備を指摘される場合があります。相続人が全員納得しており、内容がシンプルである場合は、自作でも十分対応可能です。

専門家に依頼すべきケースとは

以下のようなケースでは、司法書士や行政書士、弁護士などの専門家の関与が安心です。

  • 相続人間で意見の対立がある
  • 相続財産が多岐にわたり複雑
  • 不動産の名義変更や税務申告を伴う
  • 認知症の相続人がいる
  • 法定相続人の把握が難しい

専門家は法的な表現や形式に精通しており、将来のトラブル回避にもつながります。特に不動産の登記が必要な場合、司法書士によるサポートが有効です。

実例:家族で作成した場合の注意点

例えば、父親の遺産として自宅と預金があり、母親と2人の子どもが相続人だった場合、話し合いのうえ「母がすべてを相続する」と合意し、協議書を自作したとします。この場合でも問題はありませんが、次の点に注意が必要です。

・日付や氏名に誤記がないか
・全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付したか
・内容が明確で、遺産の記載に漏れがないか

遺産分割協議書の基本的な書き方

シンプルな遺産分割協議書の構成は以下の通りです。

  • タイトル(例:「遺産分割協議書」)
  • 被相続人の氏名・死亡日
  • 相続人の氏名・続柄
  • 分割内容の詳細
  • 相続人全員の署名・実印
  • 印鑑証明書の添付

ネット上にはテンプレートも多く出回っており、比較的容易に作成できますが、個別事情に応じた調整は必要です。

まとめ:状況に応じて家族作成か専門家依頼かを判断

遺産分割協議書は、相続人だけでの作成も可能であり、費用もかからず済むというメリットがあります。ただし、法的リスクや将来的なトラブルを避けるためには専門家の関与も選択肢に入れるべきです。

不安がある場合は、市区町村の無料法律相談や法テラスなど、公的なサポート機関を活用してから判断するのも良い方法です。大切な遺産をめぐる書類だからこそ、正確で円満な対応を心がけましょう。

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