信号待ち中の自転車に車が巻き込み接触し、さらに相手が過失を否定したり、支払いを拒否したりといった状況は決して珍しくありません。特に高齢加害者や任意保険に入っていても「使わない」と主張されると、被害者側の精神的・経済的負担は非常に大きくなります。本記事では、治療継続中の段階から裁判までにできる準備や、被害者請求と示談の違い、そして“裁判を起こすべきか”についてわかりやすく整理します。
加害者が保険を使わないと言ったらどうなる?
任意保険に加入していても、加害者が「使いたくない」と言った場合、保険会社が示談交渉を代行しない=被害者が直接交渉か訴訟を進める必要があるという事態になります。
ただし、加害者が契約者であれば、保険会社は法的には損害賠償の支払い義務を負います(いわゆる被害者請求や求償権行使の対象)。そのため、保険会社からは最終的に回収可能な場合が多いです。
治療中にやるべきこと:記録と準備がカギ
治療が完了していなくても、次のような準備をしておくことが重要です。
- 診断書や通院記録の保管(後遺障害認定の可能性含む)
- 事故現場の状況、加害者の言動、録音記録など証拠の整理
- 治療費の領収書(自由診療でも可能)と金額の明細
また、健康保険を適用するには「第三者行為による傷病届」を提出しておく必要があります。自腹の支出を抑えるためにも、早期に市区町村窓口に相談しましょう。
被害者請求を使う場合とその流れ
治療が終了した段階で、相手の任意保険会社が動かないなら、自賠責保険へ直接請求する「被害者請求」を行うことができます。
必要な主な書類は以下の通り。
- 診断書・後遺障害診断書(後遺症がある場合)
- 交通事故証明書
- 治療費・通院交通費・休業損害の領収書類
- 請求者本人の身分証・口座情報など
被害者請求のメリットは、加害者や保険会社の意向に左右されずに上限120万円まで(傷害の場合)確実に請求できる点です。事前に弁護士と連携しながら書類を準備すれば、比較的スムーズに処理されます。
その後に裁判へ進むべきか?判断ポイント
加害者が責任を否定し続けている、謝罪もなく反省も見えない、もしくは慰謝料や後遺症認定を含めた金額面での争いがある場合は、裁判も選択肢のひとつです。
裁判は時間がかかるものの、以下のような利点があります。
- 加害者に対して社会的責任を明確に求められる
- 損害額・慰謝料の正当な査定を受けやすい
- 自賠責基準ではなく裁判基準(高め)で賠償額を決定できる
また、証拠(ドラレコ映像や診断書、当時の加害者の発言記録など)が明確であれば、勝訴の可能性も高くなります。
弁護士の対応に疑問がある場合の対処
「相手の出方を見ましょう」だけで具体的な説明がない弁護士に不信感を抱いた場合は、以下を試みましょう。
- 弁護士に対してメールで明確な説明や見解を求める
- 内容に不満があるならセカンドオピニオン(別の弁護士相談)を受ける
- 弁護士会の苦情相談窓口に連絡する
「裁判は最悪負けても構わないが、反省を促したい」という強い意思がある場合、戦略的に目的を共有してくれる弁護士を選ぶことが重要です。
まとめ:治療後に「被害者請求→裁判」の流れも十分現実的
信号待ちでの巻き込み事故のように、明確な過失が加害者側にある場合でも、保険会社が対応しない・加害者が無反省というケースでは、被害者請求と訴訟の併用が効果的です。
大切なのは。
- 治療中でも記録を残す
- 相手の言動・状況証拠を整理しておく
- 被害者請求で最低限の補償を確保
- 訴訟も視野に、信頼できる弁護士と連携する
貰い事故で不合理な扱いを受けたと感じているなら、泣き寝入りせず、法的な選択肢を冷静に使っていくことが、加害者に責任を取らせる道につながります。