高齢の方が大腿骨を骨折し、さらに偽関節の手術を経験した場合、回復の道のりには慎重な対応が求められます。特に旅行のような長距離移動や段差のある移動は、身体への負担が大きいため、十分な情報と準備が必要です。この記事では、術後の回復の見通しや旅行を計画する上での配慮点、代替手段について詳しく解説します。
大腿骨骨折と偽関節とは何か？
大腿骨骨折は、高齢者に多くみられる重度の外傷の一つです。特に転倒による骨折が多く、治療には金属プレートや人工関節を用いた手術が必要です。しかし骨の癒合が不十分だったり、感染やストレスが加わった場合、骨がくっつかず「偽関節（ぎかんせつ）」という状態になることがあります。
偽関節になると、再度の手術（再接合や骨移植など）を要し、回復までに長期間を要することも少なくありません。
69歳での回復見通しは？歩行能力は戻るのか
一般的に、高齢者が大腿骨骨折や偽関節の手術を受けた場合でも、リハビリを継続することで日常生活に支障がない程度まで回復するケースもあります。ただし、完全に健常な状態へ戻るのは難しい場合もあり、痛みや可動域の制限、筋力低下などが残ることもあります。
実際に、70代で同様の症状を経験した方でも、約6カ月～1年かけて杖なしでの歩行に成功した例はありますが、長時間の運転や登り下りの多い環境には制限が必要とされています。
旅行計画時に確認すべき健康面と医師の判断
旅行を計画する前に最も重要なのは、主治医と相談して移動や負荷に対するリスクを評価することです。医師からの「歩行補助具の使用」や「段差回避」などの指示がある場合は、それを前提に旅程を組む必要があります。
また、飛行機やバスなど公共交通を使う際には、搭乗補助のサービスや車椅子利用が可能か事前に確認すると安心です。
バスツアーの注意点と代替手段
バスツアーは観光地を効率よく巡れる反面、乗降の段差が大きく、足腰に不安がある方には負担が大きいのが実情です。また、トイレ休憩のタイミングが自由に取れないなど、柔軟性に欠ける面も。
そのため、個人旅行やタクシー付きツアー、バリアフリープランを備えた宿泊施設の利用など、移動と休憩が自在なスタイルが望ましいです。
長距離移動を安全に楽しむ工夫
もし北海道のような長距離旅行を計画する場合は、飛行機＋現地送迎付きツアーや、旅程の合間に「連泊」を設けるなどのスローペースな計画が有効です。
また、段差の少ない観光地（例えば美瑛や富良野などの展望ポイント中心）を選ぶ、施設内で車椅子貸出がある観光地を優先するなどの工夫が安心感につながります。
まとめ｜回復状況を見極めて、安全で無理のない旅を
大腿骨骨折後、特に高齢者が偽関節の治療を受けた場合は、回復には個人差が大きいのが現実です。しかし、適切なリハビリと準備があれば旅行を楽しむことも不可能ではありません。
旅行前には医師の診断を仰ぎ、無理のない範囲で、移動手段や宿泊施設の選定に配慮を加えることで、安心して旅を楽しむことができます。バスの段差などが心配であれば、タクシー移動など柔軟な代替手段を積極的に取り入れましょう。