交通事故は一瞬の判断ミスから発生し、時には加害者も被害者も心身に大きな影響を受けます。とくに交差点内での事故は、信号や標識、進行状況によって過失割合や責任の所在が複雑になることが多いです。本記事では、青信号で進行中の車と一時停止標識のある側道から進入してきた原付バイクとの事故を例に、刑事罰・人身事故届の影響などを解説します。
青信号で直進中の事故でも責任がゼロではない理由
一般的に青信号で交差点に進入した車両は優先されますが、他車の動きを完全に無視してよいわけではありません。過失相殺の原則に基づき、たとえ一時停止義務がある相手方が主原因でも、事故回避義務や安全運転義務が問われ、1〜3割程度の過失が認定されるケースもあります。
例えば、「相手が止まると思った」「見えたけれど速度を落とさなかった」という証言があれば、一定の注意義務違反として過失が認められる可能性があります。
人身事故と刑事罰の関係:重くなるのか?
交通事故において刑事責任が問われるのは、過失運転致傷罪(刑法第211条)などに該当する場合です。人身事故扱いにすることで警察は捜査対象を広げ、実況見分を行いますが、必ずしも人身事故届け=刑事罰が重くなるというわけではありません。
実際に、加害者側の過失が低い場合は「不起訴処分」となることも多く、行政処分や罰金刑にとどまることもあります。
自分が軽傷でも人身事故の届け出をすべきか?
自分にもケガ(例えばむちうち等)がある場合、必ず医師の診断を受けた上で人身事故として届け出ることが重要です。これは保険請求(自賠責保険)の根拠にもなりますし、後から症状が悪化した際の救済手段にもなります。
また、双方が人身事故扱いになっていても、刑事罰の重さは過失割合や事故の状況により判断されるため、「両方届け出ると刑事罰が重くなる」という懸念は誤解です。
刑事処分の可能性と量刑の目安
仮に原付バイク側の過失が大きく、あなたに1〜2割程度の過失が認定された場合、以下のような処分が想定されます。
- 刑事処分:過失運転致傷罪が成立する可能性あり(罰金〜略式起訴が多い)
- 行政処分:違反点数の加算(2〜4点程度)、免許停止または講習受講
- 民事責任:損害賠償の過失割合に応じた一部負担(保険でカバー可能)
なお、被害者のケガの程度(重傷)によっては警察が刑事処分を厳格に判断することもありますが、医師の診断書や実況見分の結果が重要です。
過失割合と交差点事故に関する参考判例
判例上、交差点内でのバイクとの衝突は以下の要因で過失割合が調整されます。
- 車が青信号で進入していた
- バイクが一時停止を無視 or 一時停止後に安全確認を怠った
- 双方が視認できる距離であった
このような状況では、基本的には車側2:バイク側8や、車側1:バイク側9が適用される例もあります(東京地裁判決等)。
まとめ:冷静な対応と記録の重要性
事故後は、まず怪我の治療を最優先とし、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。そのうえで、事故状況の証拠(ドライブレコーダー、目撃者証言など)を確保し、保険会社や警察との連携を丁寧に行うことが大切です。
刑事罰がどうなるかを気にするよりも、事実関係を誠実に伝え、必要な手続き(人身事故届け含む)を正しく進めることが、最終的にあなたを守る結果につながります。