近年、高齢ドライバーを中心に増加している交通事故の一因として「ブレーキとアクセルの踏み間違い」が挙げられています。特に軽乗用車においてその傾向が強く見られるのはなぜなのでしょうか。本記事では、軽自動車特有の構造やドライバーの心理的・身体的要因を交えながらその背景と対策を解説します。
軽乗用車の構造が引き起こす操作ミスのリスク
軽乗用車はコンパクトな設計が魅力ですが、ペダル配置が狭くなる傾向にあり、ブレーキとアクセルの間隔が狭いために踏み間違いが起こりやすくなります。
また、車体が小さいぶんドライビングポジションも高齢者にとって快適な反面、足の可動範囲に余裕がなく繊細な操作が必要になる場面が増えることも一因とされています。
高齢者の身体的な衰えも影響
加齢に伴い、反射神経や筋力、注意力が低下しがちです。ペダルの位置や動きに対応する反応が遅れることが事故のリスクを高めます。
例えば、ブレーキを踏もうとして足がやや右にズレてしまい、そのままアクセルを踏んでしまうという事例も珍しくありません。
心理的な焦りと誤操作の関係
駐車場での出庫や狭い道でのすれ違いなど、緊張する場面では「早く操作しなければ」という焦りから誤操作が起きやすくなります。
特にバック操作中のアクセル踏み間違いによるコンビニや住宅への突入事故は、典型的な事例といえるでしょう。
軽乗用車に限らずAT車全体の傾向でもある
実は、踏み間違い事故の多くはAT（オートマチック）車で発生しています。MT車（マニュアル車）と異なり、左足の操作が不要な分、右足に負担が集中し、誤操作のリスクが高まるのです。
軽自動車はAT比率が非常に高いため、その傾向がさらに顕著に表れているとも言えます。
踏み間違い防止のためのテクノロジーと対策
現在では「踏み間違い防止アシスト」や「誤発進抑制装置」などの安全装備を搭載する軽自動車が増えています。
また、ペダルに装着する物理的ガイドや、意識的に右足のかかとを床につけて操作するといった運転方法の工夫も有効です。
まとめ：原因を知ることが事故防止の第一歩
軽乗用車の踏み間違い事故は、車両の構造的特性とドライバー側の身体・心理的要因の複合によって生じています。
安全装備の活用と日頃の運転習慣の見直しが、事故防止につながる最も効果的な手段です。特に高齢者ドライバーは、自身の運転に過信せず、定期的なチェックを心がけましょう。