交通事故の示談成立後に「保険適用外の費用を支払ってほしい」と請求されることがあります。一見すると対応すべきか迷いますが、示談書の内容や法的効力を正しく理解することで冷静に対処することが可能です。
示談成立後の追加請求は原則無効
示談書に「本件に関して今後一切の請求を行わない」と明記されている場合、その契約は法的効力を持ち、原則として追加請求は無効です。
この文言には、事故に関する損害賠償請求の全てを対象とする意思が含まれており、双方が合意の上で署名・捺印している場合は法的にも「最終的な解決」と見なされます。
よくある「保険適用外費用」の請求例
・整骨院や自由診療による施術費
・休業補償の自己計算分(診断書に基づかないもの)
・慰謝料の「少なすぎる」といった主観的請求
これらは示談書締結前に協議されるべき項目であり、締結後に追加請求されても支払い義務は原則ありません。
実例:追加請求を受けたが支払わなかったケース
加害者が自動車保険を通じて示談成立後、相手から「通院交通費が保険外だから支払え」と連絡がありました。
しかし、示談書には「一切の請求を放棄」と記載があり、被害者の請求は通らず、追加支払いは不要と判断されました。
対応のポイントと注意点
- 示談書を再確認:「今後一切の請求を行わない」との文言があれば安心材料になります。
- 直接支払いは避ける:感情的に支払ってしまうと「事実上の再示談」と見なされる恐れがあります。
- 連絡する場合は慎重に:対応文例として「示談で解決済みであることをご確認ください」と冷静に伝えるのがベストです。
万が一請求がしつこい場合の対処
示談後に繰り返し請求があったり、内容証明や簡易裁判を起こされた場合には、弁護士への相談が最も有効です。
法テラスなどの無料相談を活用すれば、費用をかけずに専門的な判断を得ることができます。
まとめ:示談成立後の請求は冷静に拒否対応を
交通事故の示談書に明記された「一切の請求放棄」の文言には強い法的効力があります。
後日追加請求が来ても、示談成立の事実と内容をもとに、冷静に「支払い義務はない」と判断し対応しましょう。