交通事故における責任の所在や処分は、当事者同士の主張や現場状況、警察の捜査結果によって大きく変わることがあります。特に「過失運転致傷」となった場合、どのような罰則や手続きが発生するのか、当事者の責任はどう判断されるのか、不安に感じる方も多いはずです。本記事では、過失運転致傷に関する法的ポイントや事故後の流れ、交渉の実務について解説します。
過失運転致傷とは？定義とポイント
過失運転致傷は、自動車運転死傷処罰法第5条に規定される犯罪で、注意義務を怠った結果、人身事故を起こしてしまった場合に適用されます。
例えば、信号の見落としや車間距離不足などが原因で起きた事故により相手がケガをした場合、軽症であってもこの罪が適用されることがあります。
処分内容：罰金・点数・前科はどうなる？
過失運転致傷に該当した場合、以下のような処分が科される可能性があります。
- 刑事罰：7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金（ただし軽微な場合は不起訴処分も）
- 行政処分：違反点数によって免許停止または取り消し（点数6点以上で停止の可能性）
- 前科の有無：略式起訴で罰金刑を受けた場合でも前科が付きます
相手のケガが軽傷だった場合は、反省と被害者への誠意が示されれば不起訴となるケースもあります。
事故の過失割合はどのように決まるか
過失割合は、事故の発生状況、信号の有無、ドラレコや目撃証言の有無など複数の要素を総合的に判断して決められます。保険会社間の交渉によって最終的な割合が調整されることが一般的です。
一方が10:0を主張しても、証拠がない場合は5:5や7:3などで落ち着くケースが多いです。
ドラレコがないときの証明方法と供述調書の重要性
ドライブレコーダーがない場合、現場検証や供述調書が唯一の証拠になります。供述の一貫性や信頼性が判断材料となるため、正確に、かつ冷静に状況を説明することが重要です。
また、事故直後に撮影した現場写真、第三者の証言、信号機の位置関係の図なども補強証拠になります。
被害者からの人身事故切り替えと影響
物損事故から人身事故に切り替えられると、加害者側には刑事責任や免許点数への影響が及びます。
ただし、医師による診断書に軽傷と記されていれば、処分は比較的軽微になることが多いです。刑事処分は検察の判断により決定されるため、被害者との示談が成立していれば不起訴になるケースも珍しくありません。
まとめ：焦らず冷静に対応することが最善策
交通事故では、お互いの主張が食い違うのはよくあることです。しかし、過失割合や責任の所在は、証拠と法的解釈によって公平に判断される仕組みになっています。
焦らず、事実を丁寧に伝え、保険会社や専門家の助言を受けながら、冷静に対応することが重要です。今後の対策としてドラレコの導入もぜひ検討してください。