自転車同士の事故で「一時不停止+右側通行」が絡むと過失割合はどうなる?|自転車事故の過失割合と判例の傾向を解説

自転車同士の接触事故が増える中で、「一時不停止(徐行あり)」と「右側通行」のように、双方に違反があるケースでは過失割合がどう判断されるのか疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。本記事では、実際の判例や保険会社の過失割合基準をもとに、こうしたケースでの考え方をわかりやすく解説します。

自転車同士の事故でも過失割合は明確に判断される

自転車は道路交通法上「軽車両」として扱われ、交通ルール違反がある場合は、車同士の事故と同じように過失割合が判断されます

特に「一時停止義務違反」や「通行区分違反(右側通行)」があった場合は、その違反内容に応じて基準過失割合が設定され、修正要素と併せて最終的な過失が算定されます。

典型例:「一時不停止 vs 右側通行」接触事故の基本過失割合

このようなケースでは、次のような基本過失割合が想定されます。

違反内容 想定過失割合
一時不停止(徐行あり) 30%
右側通行(通行区分違反) 70%

ただし、これはあくまで「目安」であり、事故状況(速度、場所、視認性、回避可能性)などによって±10~20%前後の修正が入ることがあります。

「徐行あり」は減点される?加点される?

一時不停止でも「徐行して注意していた」という事情があれば、過失が軽減される要素として考慮される可能性があります。例えば。

・停止線で一旦止まらなかったが徐行し左右確認して進入した
・出会い頭の事故で、速度が極めて低かった

こうした状況では、30% → 20%程度まで修正されることもあります。

右側通行の重大性と重み

右側通行(逆走)は、道路交通法第17条違反であり、自転車事故における過失割合を大きく左右する「重過失」扱いになることが多いです。

右側通行していた側は、正面衝突や出会い頭での衝突時に「本来通るべきでない場所にいた」ため、基本的に不利に扱われます。

過失割合を構成するその他の要素

  • 通行場所(交差点・信号の有無・見通し)
  • 速度・急ブレーキの有無
  • 相手の進行方向・進行妨害の有無
  • 事故後の対応(逃げた・誠実に対応した)

たとえば、見通しの悪いT字路で一時不停止と右側通行が交差した場合、右側通行の方に「予見可能性」が認められると、より大きな過失がつく傾向にあります。

実例:類似事故における過失割合判例

事例A:夜間、右側通行中の自転車が一時不停止の自転車と接触 → 裁判所は「右側通行側80%、一時不停止側20%」と認定(東京地裁 令和元年)

事例B:右側通行だが、狭い生活道路で一時停止側の速度が高かった → 双方50:50の責任と認定(簡易裁判所 令和3年)

まとめ:自転車同士でも過失割合は事故状況で大きく変わる

自転車事故において「一時不停止(徐行あり)」と「右側通行」が接触した場合、原則として右側通行側の方が重い過失を負うと考えられます。

ただし、徐行の程度や周囲の状況によっては過失割合が修正される可能性があるため、事故後は必ず。

  • 事故現場の写真を残す
  • 第三者(目撃者)を確保する
  • 保険会社や弁護士への早期相談

を行うことが、自分の過失を最小限に抑える鍵となります。

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