従業員が勤務先から「横領の疑い」で自宅待機を命じられた場合、今後どうなるのか不安になる方は多いでしょう。特に少額であっても、処分内容や公表の可能性など気になる点は多いはずです。この記事では、横領とされる行為に対する企業の対応、懲戒処分や自己退職との関係、氏名が公表されるかどうかについてわかりやすく解説します。
自宅待機中は「調査中」段階と捉える
自宅待機は解雇や処分が決定した状態ではなく、事実関係を調査・確認するための暫定的措置です。
その間、労働契約は継続しており、賃金が支払われるかどうかは会社の就業規則や労働協約に準じます。
会社はこの間に防犯カメラ・会計記録・関係者からの聞き取りなどを通じて、正式な処分判断を下します。
懲戒処分の対象となる可能性は?金額の多寡は関係あるか
懲戒処分の可否は金額よりも「横領行為の有無」「故意性」「反省の有無」「業務への影響」が重視されます。
例え1万円以下であっても、明確な私的流用や帳簿改ざんなどがあれば、「懲戒解雇」や「出勤停止」「減給」などが適用される可能性があります。
ただし、事実が曖昧だったり本人の反省が明確な場合は、懲戒を避けて合意退職で処理されることもあります。
自己退職の申し出と会社の判断の関係
自ら「退職したい」と申し出ても、会社側が「処分を検討中」として保留することは可能です。
特に懲戒処分を検討している段階では、一方的な退職は認められず、会社側の処分決定後に対応が決まることがあります。
この場合、最終的に「懲戒処分付きの退職」か「合意退職」か、交渉や協議で決まることになります。
名前が公表されるケースは極めて稀
一般企業において、従業員の不正行為に関する氏名が社外に公表されることは、原則としてありません。
公表されるのは以下のような場合に限定されます。
- 刑事事件として立件・起訴され、報道機関が報じた場合
- 上場企業で重大な不祥事としてIR報告された場合(ただし多くは匿名)
- 内部告発やSNS等で当人が自ら名乗ったケース
それ以外では、社内の限られた人間のみが知る「内々の処分」となるのが通常です。
事例紹介:少額横領での処分例
・経費清算で1万円未満を不正請求 → 戒告処分+始末書提出
・店舗売上のレジ誤差を自分で修正 → 減給1ヶ月+口頭注意
・社内の金銭を私的利用 → 懲戒解雇+刑事告訴(※複数回の常習)
一度の過失で誠実な対応がある場合、懲戒解雇は避けられる可能性が高いです。
まとめ:冷静に事実確認と誠実な対応を
• 自宅待機中はまだ処分決定前。今後の対応次第で結果は大きく変わる
• 金額の大小よりも、故意性や反省の有無が重視される
• 名前が外部に公表されることは原則なく、社内処分が中心
焦らず、必要であれば弁護士や労働組合に相談しながら、誠実に対応する姿勢が大切です。