執行猶予期間が無事終了したあと、「次に罪を犯したら実刑になるのか?」と不安に感じる方もいるかもしれません。本記事では、執行猶予が終わった後に再犯した場合の量刑判断や、前科の影響について詳しく解説します。
そもそも執行猶予とは何か?
執行猶予とは、裁判で懲役や禁錮などの刑が言い渡された際に、一定期間中に再犯などをしなければ、その刑の執行が免除される制度です(刑法第25条)。
例えば「懲役1年、執行猶予3年」と言われた場合、3年間犯罪を犯さなければ、1年の懲役刑は実際に受けずに済みます。
執行猶予が明けた後の法的扱い
執行猶予期間が満了すると、その刑罰の執行は「免除された」扱いになります。つまり、法的には前の刑の効力は失われ、再犯によって即座に前刑が復活することはありません。
ただし、それは「形式的に免除された」という意味で、前科そのものが消えるわけではない点に注意が必要です。
再犯した場合に実刑となる可能性は?
執行猶予が明けた後に再度罪を犯した場合、新たな罪について通常どおり裁判で量刑判断が行われます。ここで注目すべきなのは、過去の執行猶予歴や前科が量刑の参考材料として使われることがある点です。
特に、同種または類似の犯罪を繰り返している場合、「反省していない」「改善が見られない」と判断され、再び執行猶予が付く可能性は低くなり、実刑の可能性が高くなります。
量刑判断で重視される要素
- 再犯の内容・重大性:軽微な違反と重罪では影響が異なります。
- 前科の種類と時期:直近の前科や同種犯歴は重く見られる傾向に。
- 反省・謝罪の有無:被害者への対応や社会復帰の姿勢も考慮。
- 社会的信用・更生支援体制:家族・雇用先などのバックアップも量刑に影響。
つまり、再犯=必ず実刑とは限りませんが、再度の執行猶予は格段に難しくなるといえます。
実例で見る再犯と実刑の関係
例1)初犯で窃盗→懲役1年・執行猶予3年→期間満了後に万引きで再逮捕
→再度の執行猶予は付かず、懲役6か月の実刑判決
例2)傷害事件で執行猶予中→期間満了後に別の暴行事件を起こす
→前歴が重視され、懲役1年2ヶ月の実刑に。過去の再犯傾向も影響
まとめ
執行猶予が明ければ前刑の執行義務はなくなりますが、その前科や再犯歴は量刑に強く影響します。
再犯した場合、初犯よりも実刑判決を受けるリスクが高くなることは確かであり、「執行猶予が終わったから大丈夫」ではないことを肝に銘じる必要があります。
再出発の機会を無駄にしないためにも、法を守り、信頼を取り戻す歩みを大切にしましょう。